大判例

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東京高等裁判所 昭和40年(う)243号 判決

被告人 山口紘一 外二名

〔抄 録〕

論旨は、本条例第二条は、集団行動の主催者に対し七十二時間前の届出義務を定めているが、このような時間的期限は戦前の治安警察法の制限に比して不当に長いばかりではなく、とくに緊急の必要がある場合には、右期間中表現の自由が不当に奪われることになるので、右規定は憲法第二十一条に違反し無効であるというのである。しかし、本条例第二条が集団行動の主催者がなすべき「許可申請書」提出に付した「集団行動を行う日時の七十二時間までに」の制限の当否を、著しく社会事情を異にする旧憲法下の時代に施行されていた治安警察法中の類似の規定と形式的に比較対照して論ずることの相当でないことはいうまでもない。しかして、現下東京都内における人口の稠密化、住宅その他の建造物の密集化、交通量の激増、集団行動の規模、態様及び実施頻度、その他諸般の事情にかんがみ、集団行動に際し起ることのあるべき不慮の事態に備え適切な措置を講じうる体制を整えるのに、おしなべて最少限どの程度の準備期間を要するかを勘案するときは、所論公安警察の情報収集体制及び能力、警備警察の機動力等が拡充強化されていることを考慮しても、前記時間的制限を目して所論のように不合理な制限であると認めることはできない。右時間的制限により表現の自由が事実上ある程度制限される結果になることがあつても、それは公共の福祉の要請上止むをえないというべきである。

(なお、前記最高裁判所の判例も、所論第二条を含む本条例全般につき、それが憲法第二十一条に違反しない旨の判断を示したものと解すべきであつて、第二条の時間的制限に関する憲法適否の判断を特に留保したものと解することはできない。)

(坂間 栗田 有路)

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