大判例

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東京高等裁判所 昭和40年(ネ)2098号 判決

本件においては、本訴の原告が「宇野沢由之」であるか、或いは「八日市場市長谷区」であるかについて争いがあるので、先ずこの点について調べてみるに、本件記録によると、原告(控訴人)代理人は、昭和三六年一一月二二日「原告宇野沢由之」として本訴を提起し、原審第九回口頭弁論期日(昭和三七年一〇月一二日)において訴状訂正申立書に基き、右原告の表示を「原告八日市場市長谷区右代表者区長宇野沢由之」と訂正増補する旨の申立をしたのに対し、被告(被控訴人)代理人は右訂正に異議がないと述べたが、原審裁判所は昭和四〇年八月一八日言渡にかかる判決中において、原告代理人による前記訂正増補は、法律上許容された場合に該当する訴訟当事者の交替ではないから、右訂正申立は許されないとしてこれを却下すると共に、一方において、原告代理人が右訂正を申立てたことは原告自ら訴訟当事者でないことを自認したことになるとし、爾余の判断を俟つまでもなく原告の請求は失当であるとしてこれを棄却したことが明らかである。

しかしながら、本件訴状請求の原因および弁論の全趣旨によれば、宇野沢由之は昭和三六年七月中八日市場市長谷部落民から成る任意団体たる長谷区の代表者所謂区長に選任されたものであるが、同人が同区長として区の事業を執行するについて、同年六月末日をもつて任期が満了した前区長たる被告に対し、その保管中の諸帳簿等の引渡を求めるものであることがうかがわれ、してみるともともと宇野沢由之は個人の資格においてではなく、右長谷区の代表者の資格において右帳簿等の引渡を求めるものであつて、すなわち本訴の原告は宇野沢由之個人ではなく民事訴訟法第四六条の非法人社団と認められる右長谷区であると解するのが相当であり、従つて原告代理人の前記訂正申立はまさしく当事者(原告)の表示の明確化をはかつたに過ぎず、もとより当事者の変更を意味するものではないというべきである。なおこのことは原告代理人において后日第一四回口頭弁論期日である昭和三九年七月二四日に、同三八年七月一日の区長改選により宇野重二郎が区長に選任されたとして、原告の表示を「八日市場市長谷区長宇野重二郎」に変更する旨申立てたことからも裏付けられるものというべきである。

(岸上 小野沢 斎藤)

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