大判例

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東京高等裁判所 昭和40年(行ケ)133号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無)

二 原告は、本願発明の構成をとることにより、第二引用例ないしは従来公知の技術にはない特段の作用効果をあげることができる旨主張する。

しかして、当事者間に争いのない本願発明の要旨および昭和三十五年十一月五日付本願訂正明細書によると、本願発明は、砥石の修正と加工全長の精長の精密な寸法と真直度を簡易に得る目的をもつて、定着カバーの側面または上部に、前後に往復することのできる軌条を設け、この軌条に沿つて摺動する摺動体に対して左右および上下動する各摺動体を設け、上下摺動体に寸度表示器と砥石修正工具とを取り付けた外面研削機械における研削寸度表示装置(上下摺動体に寸度表示計器と砥石修正工具を装着した研削寸度表示装置)であることが認められる。

そして、前顕訂正明細書の記載とくに「口径の大中小と加工全長及び垂直度を一接解(「触」の誤記と認める)で簡単に行ないセンターレスマシンの左右平行度も左右同時に行なうことが出来る。また支持片の平行度と上下を正確にする」旨の記載に徴すれば、本願発明においては、シレー1と記載された摺動体が、前後、左右、上下のいずれの方向にも、三段階に動かされなくても、ワンタッチで、すなわち、一動作で移動させることができ、これに取り付けた寸度表示計器を移動させて被加工部の全長の寸法を測ることができ、被加工品の研削面の傾き、凹凸をも測ることができるし、さらに、右摺動体に砥石修正工具を取り付けてあることにより砥石を修正することができるものであることを認めることができ、これを左右するに足る証拠はない。

第二引用例において、研磨機における砥石面の研削修整装置について、修整装置の鞘金に突設した平鈑の部分が砥石の定着カバーの上部に設けた軌条に前後動できるように取り付けられ、鞘金には研磨具を装着した主軸が上下動できるようになつたものについての説明が図面と共に示されていることは、原告の認めて争わないところであるが、本件審決は、本願発明の明細書の記載では、左右動摺動体の具体的な作用効果が明らかでなく、単に研磨具を装着した上下動摺動体の定着カバーに対して左右に移動できるものとしても、第二引用例のものも前後動摺動体の取付方によつては、上下摺動体すなわち鞘金に挿入された主軸は定着カバーに対して左右に移動することができることは明らかで、本願発明のように左右動摺動体を介在させて行なうことは単なる設計変更にすぎないと説示する。

しかし、前述したように、第二引用例においては、鞘金の平鈑部分が砥石の定着カバーの上部に設けた軌条に沿つて前後動することができるように取り付けられてはいるが、このことから、本件審決の説示するように、平鈑の定着カバーの取付け方によつて鞘金の平鈑が左右動することができるようにするものと断定することはできない。

すなわち、一般に軌条は「車輪を支え、その上を円滑に走らせる細長い鋼材」(広辞苑「レール」の項参照)を指し、かかる軌条によつて動くとき、一方向たとえば前後動することはできるが、それと異なる方向たとえば左右動することができないことは、一般的経験則に徴し明らかなところというべきところ、第二引用例によると、第二引用例においては、鞘金の平鈑13を覆蓋4、4'に立設した螺杆5、5'をもつて定着し、かつ、この構成をもつて鞘金の平鈑13の横方向の移動を阻み、砥石の研削をするようにしたものであることが認められ、この構成のもとにおいては、たとえ鞘金の平鈑の定着カバーの取り付ける位置を変えたとしても、前後摺動体と上下摺動体との間に左右摺動体を介在させることは、前認定のような鞘金の平鈑13を覆蓋4、4'の斜面に単に一本の螺子で定着させているにとどまる第二引用例の構造においては、可能なものと認めることはできない。

しかるに、本件審決は、このような構成の相違をもつて単なる設計変更にすぎないとしたのは、判断を誤つたものというべきである。

(なお、本件審決は本願発明にかかる左右摺動体の効果について明らかでないとしているが、本願明細書には、摺動体が、前後、左右、上下のいずれの方向にも、ワンタッチ、すなわち一動作で移動させせることができるということが明示されていることは、前説示のとおりである。)

三 (むすび)

以上説示したとおりであるから、その主張のような違法があることを理由に本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、その余の点について判断を用いるまでもなく、理由があるものということができる。

(三宅正雄 石沢健 奈良次郎)

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