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東京高等裁判所 昭和40年(行ケ)83号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二 原告は、本件審決が違法として取り消されるべき理由として、本件登録実用新案(登録第四三五、〇四六号)は、本件審決のいうような、各引用例に開示された公知技術の寄せ集めではなく、仮に寄せ集めであるとしても特段の作用効果があるものである旨主張するが、この主張は理由がないものといわざるをえない。すなわち、本件登録実用新案の要旨及び各引用例の記載内容、本件実用新案公報、第一引用例、第二引用例及び第三引用例を総合すると、本件登録実用新案のうち、要旨冒頭から「穀粒切断機において」までの構成及びその作用効果は第一引用例に開示されており、同じく、「送転輪2の全周面を断面凹弧状に形成」した構造及びその作用効果は、第二引用例の「回転胴5の周縁に環状に断面彎形の溝3を設けた」構造及びこれに伴う作用効果と、同じく「送転輪2の全周面を不規則面aに形成した」構造及びその作用効果は、第三引用例の「廻転軸1の全周面に断面形の環状溝を設け、その底面に横線3を多数併設した」構造及びこれに伴う作用効果とそれぞれ相等しく、これらの構成を具備したことに伴う作用効果も前記各構成のもたらす作用効果の総和の域を出ず、結局、本件登録実用新案はこれらの構成を寄せ集めたものであり、その作用効果も特別のものはないとみるを相当とし、他に右認定を左右するに足る証拠はない。

原告はこれらの点に関し、まず、(一)本件登録実用新案における押持爪は穀粒を上方と左右両側から抱えながら押えるものであるに対し、第一引用例の押圧片は、これを上方からのみ押圧するものである旨主張するが、これを支持するに足る証拠はなく、かえつて、前顕甲第一号証の記載、とくに、「各穀粒Wはその丸味のため凹弧状不規則面a内に自から嵌合状態に乗駕し、従つて、各穀粒は何れも一定方向すなわち粒の長手方向に整へられ然も穀粒Wと輪周凹弧面の大なる接触面と不規則面とにより頗る安定的に保持され乍ら押持爪4に持来たされる」との記載に徴すれば、本件登録実用新案の二股形押持爪4は、第一引用例の押圧片と同じく、穀粒を上から押圧するにとどまるものであることを窺うことができるから、原告の右主張は理由がないものというほかはない。

また、原告は、(二)本件登録実用新案の凹弧状と第二引用例における彎形とは同一でない旨主張するが、これはいずれも各溝の形が凹曲面形であることを意味するものであることは、図面からも、容易に、これを窺うことができるのであるから、原告の右主張も採用し難い。また、原告は、第二引用例においては、本件登録実用新案の場合と異なり、溝内において麦粒が左右に回動し易いと強調するが、麦粒の溝内の安定性について、そのような差異があることを推測させる資料は一つとして存在しない。

さらに、原告は、(三)本件登録実用新案における凹弧状溝内の「不規則面」と第三引用例における「横線を多数設けた」こととは、構造及び作用効果において類似ではない旨主張するが、底面に多数の横線を設けることはギザギザではないとすることは理由のない独断であり(原告の比喩するように天空に無数の星の点在するような状態も、現行の百円硬貨の周縁に見るような多数の横線も等しくギザギザというに妨げないことは、多くの説明を要しないところである)、それぞれのもたらす作用効果にも格別の差異あることを首肯せしめるに足る資料はない。ましてや、「実用新案の性質、作用及び効果の要領」の項に「送転輪の輪周不規則面」なる構造が本件出願前すでに公知であることが記載されている事実を勘案すると、原告の右主張は、考案者らの認識にも反する議論というべく、もとより採用しうべき限りではない。

(むすび)

三 叙上のとおりであるから、その主張のような違法のあることを理由に本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというほかはない。よつてこれを棄却する。(三宅正雄 石沢健 奈良次郎)

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