東京高等裁判所 昭和40年(行ケ)89号 判決
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〔判決理由〕本願意匠の意匠にかかる物品が卵容器であることは引用意匠の意匠にかかる物品は電球容器であることが認められるが、前者の使用状態と後者の使用状態とを対比すれば、両者は包装用パツキングとして用途および機能を同じくするものと認められるので、同一物品であることが明らかである。したがつて、原告主張は理由がない。
原告は、引用意匠が長方形の板の上面に多数の截頭円錐形状の凸出部が規則正しく配列されたものである点および右凸出部の裏面が凹状となつている点を除き、審決の引用意匠の認定は事実誤認であると主張する。しかし、前記写真版によれば、引用意匠の上面各凸出部の中間には低い突提があり、上面各凸出部の対角線上の中央に当る下面には截頭円錐形状の凸出部があり、その裏側が凹状になつていることを認めることができるので、引用意匠の構成は審決認定のとおりであると認めるのが相当である。また、引用意匠の意匠にかかる物品である電球容器は、異なる大きさの電球をそれぞれ上面と下面とで包装することをうかがわせる記載があるので、引用意匠の上面の凸出部と下面の凸出部の大きさが異なるのではないかとの疑問が生ずるが、前記写真版による限り、両者の大きさに格別の差異を認めることができない。そして、審決が本願出願前頒布された刊行物に記載されたものとして引用する意匠は、右写真版に示された意匠を指すのであるから(意匠法第二条第一項参照)、同号証の前記記載にかかわらず、引用意匠の上面凸出部と下面凸出部の大きさはほぼ同じであると認めなければならない。したがつて、審決は両者の大きさが異なることを看過した旨の原告の主張は採用の限りではない。
右に認定したとおり、引用意匠の上面の各凸出部および下面の各凸出部はいずれも截頭円錐形状であるが、本願意匠の構成、および本願意匠を実施した試作品によれば、本願意匠の下面の凸出部(六〇個。ほかに半截のもの一二個)は截頭円錐形状であるのに対し、上面の各凸出部(六〇個。ほかに半截のもの一二個)は八角形角錐形状であることが明らかである。しかし、八角形角錐形は円錐形に近似するから、本願意匠を全体として観察する場合は、上面の各凸出部と下面の各凸出部はほぼ同一の形状であるとの印象を看者に与えるものと認めるのが相当である。そうだとすると、両者のコントラストにより本願意匠とは違つた独特の美観を呈するとはいえず、本願意匠と引用意匠との前記の差異は看者の注意を惹かない微差に過ぎないといわねばならないから、原告主張は採用の限りではない。
よつて、審決には原告主張の違法はないから、原告の請求を棄却する。
(服部高顕 瀧川叡一 奈良次郎)