大判例

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東京高等裁判所 昭和41年(ネ)2457号 判決

さらに、控訴人らは予備的に、本件代物弁済の予約においては、債務額と目的物件の価額との差が大きく、したがつて、その予約は抵当権と同様の担保であるから、被控訴人の控訴人勝己に対する現存債務額金一五万六三六〇円の支払と引換に本件土地建物についての所有権移転登記の抹消登記手続を求めると主張する。

思うに、債務額と目的物件の価額とが合理的均衡を失するような場合には、代物弁済の予約はその実質が担保であつて、当事者間に特別の合意がある等他に特段の事情がないかぎり、債権者は債務不履行の場合に目的物件を換価処分してその弁済に充て、剰余あればこれを債務者に返還すべき義務を負担する、いわゆる処分清算型の代物弁済の予約であると見るべきことは、控訴人主張のとおりである。しかし、本件においては、すでに説示したとおり、本件債務額と目的物件との価額の差がそれほど大きくなく、いまだ合理的均衡を失するとは解せられない。のみならず、さきに認定したように、控訴人らは調停において本件土地建物を占有すべき権原のないことを認めてこれを被控訴人に明け渡すべきことを合意し、さらに、昭和三五年一〇月一二日にいたり改めてその売渡証書を作成しているのであつて、これによるときは、控訴人らは本件土地建物の所有権を代物弁済によつて被控訴人に移転したことを当然のこととしたものであり、したがつて、右の代物弁済の予約は、債務不履行の場合に被控訴人が確定的に目的物件の所有権を取得すべき趣旨のいわゆる取り切り型の予約であると窺えないことはない。そして、被控訴人は本件準消費貸借上の債務の弁済期後右に述べたように控訴人らを相手方として本件土地建物の明渡に関する調停を申し立てているのであるから、少なくともこれにより代物弁済予約完結の意思表示をしたものと解して支障なく(被控訴人はこの事実の主張をしていないが、本件土地建物を売買により取得したとする主張にはかかる主張も含まれるものと解する)、したがつて、右土地建物の所有権はすでに確定的に被控訴人に帰するとともに、右準消費貸借上の債務は消滅したものと解するほかはないから、いまだ、右債務が存続し、本件土地建物の所有権が確定的に被控訴人に移転していないことを前提とする控訴人らの主張は、これを採用するに由ない。

(長谷部 鈴木信 麻上)

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