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東京高等裁判所 昭和41年(ネ)810号 判決 1968年1月31日

被控訴人 中小企業金融公庫

理由

一、当裁判所は審究の結果、被控訴人主張の、被控訴人を貸主、更生会社トキワ精機株式会社を借主とする抵当権の設定された貸付金に対する、更生手続開始の日である昭和四〇年五月一五日以降の本件損害金債権のうち、更生計画認可の日を基準としてこれを逆算して二ケ年分の範囲内において、被控訴人は更生担保権及び議決権を有するものと判断する。その理由は次に付加するほか、原判決の理由と同一であるから、ここにこれを引用する。

昭和四二年法律第八八号会社更生法等の一部を改正する法律(以下新法という)が同年七月二七日公布され、同年九月二〇日から施行され、新法の附則第二項第三項により、本件については、原則として、新法による改正前の会社更生法(以下旧法という)が適用され、第一二三条第一項についても旧法のそれが適用されるところ、旧法第一二三条第一項は、その文理上からも、更生担保権で担保される債権の範囲までをも規定した実体規定と解し難いこと及び新法第一二三条第一項が、従前の規定に付加して、ただし書をもつて「利息、不履行後の損害賠償の請求権については、更生手続開始後一年を経過する時(その時までに更生計画認可の決定があるときは、その決定の時)までに生ずるものに限る。」と規定したことをもあわせ徴すると、本件損害金債権も、民法第三七四条により担保される限度においては、更生担保権となると解するのが相当である(なお本判決のように旧法のもとにおいて更生担保権となる利息、損害金等の終期を更生計画認可の日として、これから逆算して二年分の範囲内のものとしても、本件弁論の全趣旨に徴すると、被控訴人の本件請求の範囲内に属することがうかがわれるから、結局原判決は相当というべきである)。

二、よつて原判決は相当であり、本件控訴は理由がないので棄却。

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