東京高等裁判所 昭和42年(う)2666号 判決
被告人 土屋博司 外一名
〔抄 録〕
なるほど、刑法二三四条の威力業務妨害罪は脅迫を手段とし、かつ、その法定刑も暴力行為等処罰に関する法律一条所定のそれより重いところから、団体の威力を示し他人を脅迫してその他人の業務を妨害した場合には、所論の如く暴力行為等処罰に関する法律一条(刑法二二二条)の罪は、威力業務妨害罪に吸収されるとの見解も首肯できないわけではない。然し、前者の罪は、集団的暴力行為を処罰の対象とし、単に被害者の個人的法益のみならず、同時に社会的法益をも保護法益としているものというべく、しかもまた両罪はその構成要件を異にするものであるから、後者の威力業務妨害罪が脅迫をその構成要素としていても、前者の罪が、個人的法益のみを保護法益とする後者の罪に吸収されるものと解する所説には、にわかに賛成することはできない。両罪は別罪として各別に成立するものというべきである。
(荒川 谷口 中久喜)