東京高等裁判所 昭和42年(う)37号 判決
被告人 武居義隆 外二名
〔抄 録〕
賄賂罪における請託とは、公務員に対して一定の職務行為を行うことを依頼することであつて、その依頼の対象となる職務行為は特定されていることが必要であるが、当該職務行為が方法その他詳細な点にわたるまでの具体性を有することは必要でなく、その目的、範囲、内容等によつてある程度の具体性が認められれば足りるものと解すべきであり、特定の事項に関し職務の範囲内において為し得べき行為のうち最も依頼の趣旨に適う方法をもつて随時取計いをされたい旨嘱託することも請託に該当する。本件の如く、特定の試験に関し特定の受験生に合格を得させるため職務上便宜な取扱いをして貰いたい旨の依頼があれば、右依頼の対象となる職務行為は特定されているものと認めるべきであり、具体的にいかなる方法をもつて便宜を図つて貰いたいかについての嘱託がなくても、これを請託というに妨げない。
(栗田 沼尻 近藤)