大判例

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東京高等裁判所 昭和42年(ま)2号 決定

本件請求原因の要旨は、請求人は昭和四一年一月二五日暴行、傷害致死の罪名をもつて千葉地方裁判所に起訴され、同年五月二七日同裁判所において右両訴因につき有罪の判決をうけたが、控訴の申立をした結果昭和四二年五月三一日東京高等裁判所において原判決を破棄、暴行につき罰金二〇〇〇円、傷害致死につき無罪の判決がなされ、右判決は法定期間の経過とともに確定した。請求人は右傷害致死事件のため昭和四一年一月五日逮捕、引続き勾留され、同年二月九日保釈許可決定がなされ、これにより出所するまで抑留拘禁され、これにより多大の被害を受けたので、刑事補償の請求をするというのである。

よつて審究するに、右請求原因たる事実は請求人に対する当裁判所昭和四一年(う)第一六三八号暴行、傷害致死被告事件の一件記録によつて認めることができ、刑事補償法第三条所定の補償をしないことができる場合にはあたらないので(本件請求についての検察官提出の意見によれば、本件は同法第三条第二号にいわゆる「一個の裁判によつて併合罪の一部について無罪の裁判を受けても、他の部分について有罪の裁判を受けた場合」にあたり、かつ事案の性格にかんがみ刑事補償は相当でないというのであるが、記録によると本件抑留拘禁の原因となつた逮捕及び勾留は傷害致死の事実のみについてなされたものと認められ<勾留状の被疑事実の要旨中には越後貫三吉に対する傷害致死の事実のほかに越後貫清七に対する暴行の事実も記載されているが、右は、勾留状の被疑事件名として傷害致死のみが掲げられていること、勾留の基礎たる逮捕状の発付は明らかに傷害致死の事実のみについてなされていることからみて、たんに三吉に対する傷害致死の事実を明らかにするための事情として記載されたにすぎないと推認される>、かつ越後貫清七に対する暴行の事実については請求人は捜査段階以来これを争つていた形跡はなく右暴行事件は身柄を拘束して取調べなければならないような事案とは認められないので、清七に対する暴行事件は本件の抑留拘禁と無関係な事実にすぎないから、これについて有罪の裁判がなされたからといつて、請求人に対し傷害致死事件による抑留拘禁についての刑事補償の全部又は一部を拒否すべき理由となりえない。)請求人が逮捕された日である昭和四一年一月五日から前記保釈許可決定により出所した日であることが記録上明らかな同年二月一〇日まで合計三七日間の全部に対し刑事補償をなすべきであり、その金額については、刑事補償法第四条第二項所定の諸事情を考慮し同条第一項所定の範囲内において一日につき金七〇〇円と定めるのが相当であると考える。

(足立 浅野 渡辺)

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