大判例

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東京高等裁判所 昭和42年(ネ)1459号 判決

被控訴人が昭和二九年六月二六日控訴人に対し訴外会社の控訴人に対する前記借入金を含む合計金三一〇万円の支払い債務について重畳的債務引受けをなし、これを控訴人主張のごとく分割して弁済する旨を約したことは、当事者間に争いがない。しかして、重畳的債務引受けがなされた場合には、特段の事情が認められないかぎり、原債務者と引受人との間に連帯債務関係が成立するものと解すべきことは、つとに確立された判例であり(大審院昭和一一年四月一五日判決、民集一五巻一〇号七八一頁、最高裁判所昭和四一年一二月二〇日第三小法廷判決、民集二〇巻一〇号二一三九頁参照)、当裁判所も、債務引受けが全然利害関係のない第三者によりまたは原債務者不知の間になされたようなときは格別、少なくとも、本件におけるごとく会社の債務をその代表取締役が個人として引き受け、両債務者の間に一般的に主観的共同関係があるものとみるべきときには、右判例のように解するのが相当であると認めるので、この点に関する控訴人の主張は、採用しない。ところで、控訴人は、右特段の事由につき、当時訴外会社は事実上倒産して控訴人に対する債務の弁済などとうてい望み得ない状態にあり、他方、被控訴人においてもその借入金の一部を費消したような事実があつたところから、被控訴人は控訴人の要請を容れて自ら会社に代わり全債務を弁済する旨を約諾し、控訴人も、被控訴人の支払能力を考慮して長期にわたる分割弁済を認め、ここに本件債務引受け契約が成立するにいたつたのであり、かかる契約成立の経緯や当事者の真意、契約の内容等は、まさに、右にいう特段の事情に該当すると主張する。しかし、会社の資産の点を除けば、控訴人の右主張は、本件訴訟にあらわれたいかなる証拠をもつてしてもこれを認めることができず、他に本件債務引受けによつて連帯債務関係の生じない特段の事情があるものと認めるに足る証拠はない。もつとも、訴外会社の原債務と被控訴人の引受債務とはこの弁済の期間、方法等を異にすること、前叙認定の事実に徴して明らかであるが、右両債務者の債務がその態様を異にするがごときことは、もとより、連帯債務関係の成立を妨げる事由とはなり得ない。したがつて、本件債務引受けによつて、訴外会社と被控訴人とは連帯債務の関係に立ち、そのうちの一人のために消滅時効が完成すれば、当該債務者の負担部分については他の債務者もまたその義務をまぬかれるもの(民法四三九条参照)、というべきである。

(浅沼 上野 渡部)

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