大判例

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東京高等裁判所 昭和42年(ネ)337号 判決

被控訴人は物権変動は意思表示によりその効力を生ずるから右合意解除前に本件山林の所有権を取得した被控訴人が既得権利を奪われる筈はない旨主張するのに対し、控訴人は被控訴人が所有権移転登記を得たのは前記合意解除後のことに属するから、被控訴人はもとより訴外村松正男もまた民法第五四五条第一項但書の権利を取得した第三者には該当せず、右所有権移転登記をもつて本件山林の所有権取得を控訴人に対抗し得ない旨反論する。

おもうに法定解除の規定である民法第五四五条が直ちに合意解除(解除契約)の場合に適用されることはないが、解除の遡及効により第三者の権利を害し得ない旨の同条第一項但書の法理は両者別異に解すべき根拠はないというべきである。しかしながら右いずれの場合においても、その第三者が本件のように不動産の所有権を取得した場合は、解除の時を基準として、その所有権移転登記を経由していることを必要とするものであつて、もし右登記を経由していないときは第三者として保護するを得ないものと解すべきである。いま、本件についてこれをみれば、本件山林につき控訴人から被控訴人への所有権移転登記がなされたのは昭和三九年二月三日であること当事者間に争がなく、控訴人と訴外馬場信教間に土地交換契約の合意解除がなされたのは右に先立つ昭和三八年一二月一〇日であること前認定のとおりであるから、合意解除の時点においては登記名義は未だ控訴人にあり被控訴人に移転していないから、控訴人は合意解除による所有権の回復をもつて未だ登記としていない被控訴人に対抗することができるというほかはない。

(鈴木信 石田実 麻上)

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