大判例

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東京高等裁判所 昭和42年(ネ)634号 判決

控訴人が綜合技研工業株式会社に宛て金額二五〇万円、満期昭和四〇年一一月三〇日、支払地および振出地川越市、支払場所株式会社日本相互銀行川越支店なる約束手形一通を振出日を白地で振出したこと、右約束手形が綜合技研工業株式会社より日本電科工機株式会社、日進観光企業株式会社、被控訴人へと順次白地裏書譲渡されたことは当事者間に争いがなく、成立に争いない甲第一号証と弁論の全趣旨によれば右約束手形の振出日欄は昭和四〇年八月三〇日と補充され、現に被控訴人がこれを所持していることが認められる。

控訴人の抗弁のうち、日進観光企業株式会社より被控訴人への裏書譲渡が商法第二六五条に違反し無効であるとの点を検討するに、成立に争いのない乙第三号証と証人大江勝の証言(第一、二回)、被控訴人本人尋問の結果によれば、右裏書の当時被控訴人が日進観光企業株式会社の取締役であつたこと、右裏書譲渡について右会社の取締役会の承認はなかつたことが認められる。そうして約束手形の裏書譲渡は商法第二六五条の取引に該当すると解するのが相当で、とくに右裏書譲渡が会社の利益を害しない場合でない限り取締役会の承認なきものは無効といわざるを得ない。たとえ裏書人である会社が被裏書人に対する債務の弁済として約束手形の裏書譲渡をした場合であつても、そのことをもつて一般的に会社を害するおそれのない行為ということはできないのである。そうすると、本件約束手形につきなされた日進観光企業株式会社より被控訴人への裏書譲渡は無効で、本件手形上の権利は被控訴人に帰属しないから、他の控訴人の抗弁につき審究するまでもなく控訴人は被控訴人の本件手形金請求を拒むことができる。

(谷口 瀬戸 友納)

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