東京高等裁判所 昭和42年(ネ)770号・昭42年(ネ)738号 判決
第一審原告は罹災都市借地借家臨時処理法においては一〇年の期間中適当な時期に戦災後築造した建物を取壊して新建物を建築することは同法の全く予期しないもので許されないと主張する。同法第五条において同法第二条の規定により設定された賃借権の存続期間を一〇年と定め、建物がこの期間満了前に朽廃したときは借地権はこれによつて消滅する旨を規定したのは戦災後建築される建物の資材構造等による耐久力と、罹災都市の復興を促し罹災借家人の営業や住居の安定を図るため、土地所有者に正当事由等の理由が存しない場合にはその意思を抑え右借家人に賃借権を設定し、土地所有者の権利を制約したこと等の理由により借地法第二条の例外として存続期間をそれより短い一〇年と定め、建物が自然的腐蝕により社会的経済的効用を失つた場合には、この建物の存在の為設定された借地権はその本来の目的を達し残存させる必要がないので期間満了前でも消滅することとしたものである。従つて借地上の建物が朽廃以外の理由で滅失した場合は、自然的であると人工的であるとを問わず、例えば借地権者が新築のため任意に建物を取壊したような場合でも借地権は期間満了前に消滅せず、借地人は建物を新築することができると解すべきことは借地法第二条の場合と同一であり、罹災都市借地借家臨時処理法において、これと別異に解すべき明文ならびに実質的理由は見当らない。
(福島 武藤 岡田)