大判例

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東京高等裁判所 昭和42年(ラ)745号 決定

民訴法六八〇条によれば、法は強制競売の競落許可決定に対し即時抗告をなし得る者として、利害関係人並びに同条二項所定の競落人および競買人を掲げているのである。このように特に法が抗告をなし得る者を掲げているのは、競売手続の錯雑と遅延を防止せんがために、強制競売の競落許可決定に対し抗告をなし得る者の範囲を、同法六四八条所定の利害関係人並びに同法六八〇条二項所定の競落人および競買人に限定した趣旨であつて、右に該当しない者には抗告を許さないものとした趣旨であると解するのが相当である。ところで本件抗告人は、「抗告人は本件競売物件の所有者であるから、本件競売手続の利害関係人である」旨主張する。しかし強制競売につき利害関係人の範囲を定めた同法六四八条一号ないし五号の規定によれば、任意競売に関する競売法二七条の場合とは異なり、競売物件の所有者は強制競売の利害関係人とはされていないのである。(なお民訴法六四八条四号は、「不動産上権利者トシテ其債権ヲ証明シ執行記録ニ備フ可キ届出ヲ為シタル者」を強制競売の利害関係人に挙げているが、同号には、競売法二七条三項四号と異なり、「其債権ヲ証明シ」云々と明記されているから、物件所有者がこれにも該当しないことは明白である)。したがつて競売物件の所有者であるというだけでは、未だ強制競売の競落許可決定に対し抗告をなし得る利害関係人に該当せず、かかる所有者は民訴法五四九条所定の第三者異議の訴を提起することができるけれども、競落許可決定に対し抗告をすることは法律上許されないものといわなければならない。

(土井 兼築 高橋)

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