大判例

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東京高等裁判所 昭和42年(行ケ)41号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕二、本願発明が、成形途上の緩衝性材料で被梱包物を包んだ後に緩衝性材料を成形する、という技術思想をもつことは当事者間に争いがない、したがつて、被梱包物をその形状と合致するように形成した発泡スチレン樹脂のような緩衝材料で包んで梱包する周知の梱包手段と対比するに当り、本願発明の方法を、緩衝性材料として「帯弾性繊維材料を(中略)型に入れて適宜加圧し加硫成型したもの」を用いるとした審決の認定は、それに引き続いて「前記緩衝性材料を被梱包体の外側に配した後加硫成形」することを指摘しているとはいえ、なお、本願発明が前記技術思想をもつことに対する十分な理解を欠くものといわねばならない。そして、引用例に審決認定のとおりの記載があること、発泡スチレン樹脂のような緩衝性材料を用いる梱包方法が周知であり、その方法が一般的には発泡スチレン樹脂材をあらかじめ所要形状に分割形成した後これを被梱包物の周側に配して梱包するものであること、陶磁器等の包装において縁衝性を有する一箇の包装材料例えば軟質紙等で物品の全周部を包装することが周知であることは当事者間に争いがないが、右の引用例記載の緩衝性材料や周知の梱包方法で用いる発泡スチレス樹脂、周知の包装方法で用いる軟質紙等はいずれも成形完了後の緩衝性材料であり(この点も当事者間に争いがない。)、成形途上のものとはいえないから、引用例や審決挙示の周知例は本願発明のもつ前記技術思想をもたないのみならず、これについて何らの示唆も与えないものと認めるのが相当である。以上の認定を総合して考えると、本願発明の方法が周知の梱包方法と相違する第一および第二点は右引用例および周知例にもとづき当業者が必要に応じて容易に変更できることであるとした審決の判断は、本願発明のもつ技術思想と引用例、周知例の示す技術思想との差異を看過し、その結果なされた誤まつた判断であるといわねばならない(被告は周知の梱包方法で用いる縁衝性材料には成形途上のものもあると主張するが、後記三で述べるように、右事実を認めるに足りる証拠はない。)。そして、審決が本願発明と周知の梱包方法との相違点とした三点のうち、前記技術思想と関係があるのは右第一および第二点のみであり、かつ、本願発明が前記技術思想をもつことによつて原告主張の作用効果が生ずることは当事者間に争いがないから、右第一および第二点についての判断が誤まりである以上、第三点の判断の当否について立ち入るまでもなく、審決指摘の事由によつて本願発明の進歩性を否定した審決の判断は誤まりであるといわねばならない。

三、被告は、発泡スチレン樹脂のような塑造物により包装ないし梱包するに当り、目的物の周囲に未硬化、未成形の塑造材を配した後これを硬化、成形する方法は周知である、と主張する。被告の右主張が本訴において許されるか否かについてはしばらくおいて証拠を検討するに、右主張事実を認めるに足りる証拠はない。成立に争いのない乙第一号証の二にはウレタンフオーム製包装具に関する記載があるが、同号証中の図三―四二をしんしやくして検討すれば、右包装具は二つの部分に分割成形した後にこれを目的物の周囲に配するものであつて、成形途上のウレタンフオームで目的物を包んだ後にこれを硬化成形するものではないと認めるのが相当であり、成立に争いのない同号証の四にはウレタンフオームを目的物の周側において製造する方法が記載されているが、同号証中の図三―七をしんしやくして検討すれば、右の方法はパイプの絶縁材料の製法であつて、梱包ないし包装材料の製法ではないと認めるのが相当である。そうだとすれば、前記方法が周知であることを前提とする被告の主張は、その余の点について判断するまでもなく、採用の限りではない。

四、よつて、本件審決には原告主張の違法があるから原告の請求を認容……する。(服部高顕 石沢健 滝川叡一)

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