大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和42年(行ケ)7号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕本件における実質的な争点は、本願発明が、出願前、日本国内において公知となつたことが、出願人の意に反したものと認められるかどうかにあることは、本件における当事者双方の主張、とくに、原告の主張に徴し明らかなところ、本願発明が日本国内において公知となつた経緯が、仮に原告主張のとおりであつたとしても、これをもつて、出願人の意に反して公知になつたものとすることはできないから、この点に関する原告の主張は、理由がないものといわざるをえない。けだし、原告前主が本願発明を、その自由な意思に基づいて仏国特許局に特許出願したことと本件弁論の全趣旨に徴し明らかな以上、その後これを記載した仏国特許明細書が日本国内に受け入れられて、何時公知となるかということは、出願人の意思とは全くかかわりなく、出願人がそれを望むと否とにかかわりなく、いわば他動的、機械的に決定される事柄であることは明らかであり、したがつて、これがその意に反するかどうかを問題にする余地は全くありうべくもないことだからである。

原告訴訟代理人は、旧特許法第五条第二項の法意に関し、さきに「請求の原因」の三項に掲記したような見解のもとに、本件をもつて、出願人である原告前主の意に反して新規性を喪失した場合に当る旨主張するが、右法条に関する抽象的解釈の当否は、しばらくおくとしても、その主張の事実をもつて、右法条にいう「意ニ反シテ」に当るとする見解は、明らかに当を得ないものである。(小沢文雄 三宅正雄 影山 勇)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!