大判例

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東京高等裁判所 昭和42年(行タ)22号 決定

ところで、申立人は、秋田弁護士会の懲戒処分は、申立人に弁護士法第五六条所定の所属弁護士会の信用を害し、かつ、弁護士としての品位を失うべき非行がないのにこれありとしてなした不当な処分であり、従つて右処分の審査請求を棄却した被申立人の裁決は違法にして取消を免れないものと考えるが、いかに違法な処分であつても一旦申立人に告知された以上その効力停止の裁判がなされない限り弁護士としての職務を遂行することができなくなることを免れない。従つて、申立人が秋田弁護士会の懲戒処分の告知を受けた日以後今日までの間三年以上に亘り弁護士として行つてきた裁判上裁判外の行為が一切無効となる虞れがあるが、右の事実は正に申立人において回復の困難な損害を被るものというべきでこれを避けるための緊急の必要がある

というのである。

しかし、行政事件訴訟法第二九条によつて裁決の取消の訴訟に準用される同法第二五条第二項にいわゆる処分により生ずる回復の困難な損害は申立人自身の損害に限られるべきものと解するを相当とするところ、申立人の職務の遂行によつて申立人主張の結果を招くことは申立人自身の被る損害といいえないのは勿論である。のみならず本件懲戒処分の効力の停止によりさらに無効な訴訟行為を累積させることは、いたずらに手続の安定を害し、訴訟を紛糾せしめ、関係当事者に不測の損害を被らしめることなきを保し難いので正に公共の福祉に重大な影響を及ぼす虞れがあるものというべきである。

(仁分 石田実 小山)

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