大判例

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東京高等裁判所 昭和43年(ウ)130号 決定

しかしながら、前文掲記の仮処分判決によれば、申立人に対して毎月支払を命じた被申立人らの各一カ月の賃金の九割に相当する金員中に、申立人主張の所得税の源泉徴収額や健康保険法、厚生年金保険法、失業保険法等に基づく各保険料(以下これらの金員を総称して「源泉徴収額等」という。)をも含ませ、したがつて、被申立人らにはこれら源泉徴収額等を控除した残額を現実に支払えば足りる趣旨であると解すべき根拠は見出しがたいのみならず、右判決は被申立人らがいずれも申立人の従業員であることを仮りに定めているのであるから、申立人が右判決の命ずる金員の全額を被申立人らに支払つても、各一カ月の賃金の一割にあたる留保額より源泉徴収額等を納付することも計算上可能であり、そのことが特に不当な結果をもたらすとか、申立人に回復しがたい損害を与えるおそれがあるとも認められない。

申立人は、本申立の理由として、原判決がその内容において権利の終局的実現を招来することになることを強調するが、かかる終局的実現という見地からすれば、前記仮処分判決が命じた支払金額はいずれもこれに該当するのであつて、とくに源泉徴収額等に相当する金員だけを区別すべきいわれもない。

要するに、申立人主張の金額についての強制執行を停止すべき必要はないものと認められるから、主文のとおり決定した。

(高井 高津 弓削)

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