東京高等裁判所 昭和43年(ツ)91号 判決
一般公衆の共用に供されている公道は、管理者が公道として一般公衆の通行の用に供したため、一般通行者は、その行政措置の反射的効果として、公道を自由に通行できるのであるが、この場合、個々の通行者が管理者等に対して、いわゆる通行権とも称すべき権利を取得しているわけではない。従つて、道路通行に支障となる状態が作為されても、個々の通行者の通行権が侵害されたことにはならない。もつとも、一般通行者が通行を拒否されないのに拘わらず、上告人だけが何人によつてか通行を妨げられたというが如き場合には、この妨害排除を求め得るけれども、それは上告人が通行権をもつているからではなく、上告人の自由権の侵害であるためである。されば、道路通行の妨げとなる施設をなした者があり、その者の行為に違法なものがあつたとしても、上告人が特に通行権を侵害されたとして、その者の行為の禁止又はその結果の排除を求め得ないものといわなければならない。上告人としては、公道を維持、管理する権利・義務を有する道路管理権者をして、侵害の排除、禁遏をなさしめるは格別、通行権の侵害があるとして、直接右妨害施設者に対し、法律上個人的にこれが排除は求め得ないものというべきである。
(毛利野 石田哲 矢ケ崎)