大判例

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東京高等裁判所 昭和43年(ネ)1708号 判決

措訴人(原告) 横浜日野自動車株式会社

被措訴人(被告) 志村有信

〔抄 録〕

控訴人は本件自動車のように道路運送車両法第一六条の規定による抹消登録のなされた自動車は登録のある自動車と同一視すべきものであつて、このような自動車には民法第一九二条の規定の適用はないと主張するが、道路運送車両法第一六条の規定による抹消登録のなされた自動車は登録自動車を運行の用に供することをやめたという事由で抹消登録のなされたものであるから、これを現に運行の用に供するものとして自動車登録原簿に登録されている自動車と同一視することはできないのであつて、このことは同法第四条が「自動車………は、自動車登録原簿に登録を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならない。」と定め、同法第五条第一項が「登録を受けた自動車の所有権の得喪は、登録を受けなければ、第三者に対抗することができない。」と定めて、現に登録を受けている自動車についてのみ運行の用に供することを認め、またかかる登録自動車についてのみその所有権の得喪について登録を以て対抗要件とし、また自動車抵当法第二条、第三条及び第二〇条の規定において、登録を受けた自動車についてのみこれを抵当権の目的とすることを許す反面、これに質権を設定することを禁止して、現に登録を受けている自動車とそうでない自動車とを異別に取扱つていることからして明瞭である。従つて民法第一九二条の規定の適用の有無についても登録のある自動車と本件自動車のように道路運送車両法第一六条の規定による抹消登録のなされた自動車とを同一にみることはできないのであつて、登録のある自動車については上述の如くその所有権の得喪について登録を以て対抗要件としていることに鑑みるときはは、登録された航空機、登録された建設機械等と同様、民法第一九二条の規定の適用はないというべきであるが、本件自動車のように道路運送車両法第一六条の規定による抹消登録のなされた自動車については、新に同法第七条の規定による新規登録を受けない限り、一般動産として民法第一九二条の規定の適用があると解するのが相当であり、控訴人の右主張は理由がない。

次に控訴人は仮に本件自動車が登録のある自動車と同一視することができないとしても、自動車については何時でも登録が可能であるから、登録の有無にかかわらず民法第一九二条の規定の適用はないと主張するが、自動車は不動産や商法上登記を必要とする船舶がその物理的本性に基いて登記の有無にかかわらず一般動産と異なる取扱を受けるのとは異り、本来は動産であり、たゞ自動車に対する実態把握、盗難予防及び安全性の確保等の行政目的を達成するため、道路運送車両法は登録を受けたものでなければ運行の用に供してはならないとし、運行の用に供するについての行政上の義務として登録を要するものとしているにすぎないのであるから、自動車について不動産や船舶におけると同様に登録の有無にかかわらず一般動産と異る取扱をするということはできないのであり、他面前述したとおり道路運送車両法や自動車抵当法は現に運行の用に供するものとして登録されている自動車をそうでない自動車と明かに区別して取扱つているのであるが、控訴人の主張するところは究極において現に運行の用に供していない自動車をも現に運行の用に供している自動車と同一視することに帰着するものであつて、そのような見解の採りえないことは明かである。従つて現に登録されている自動車については前述の理由により民法第一九二条の規定の適用はないというべきであるが、そうでない自動車については一般動産として同条の規定の適用があるというべきであつて、自動車については何時でも登録が可能であるということだけから自動車には登録の有無にかかわらず民法第一九二条の規定の適用がないとすることはできないから、控訴人の右主張も理由がない。

(浅賀 岡本 鈴木)

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