大判例

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東京高等裁判所 昭和43年(ネ)2189号 判決

最後に、昭和三九年八月二五日になされた同年一月一日より同年四月末までの分の賃料の供託の適否につき按ずるに、右供託が債権者たる相続人が不明であるとして鴨下文左衛門の相続人菊地フク外不明者宛に弁済供託されたものであることは前認定の通りである。即ち右供託は債権者を確知しえないとして供託したものであるが、右供託が有効となるには、単に債務者において主観的に債権者を確知できないというだけでは足りず、その時の状況に照らし相応の調査をしても債権者が判らぬ場合であることを要することは、民法四九四条後段の「弁済者の過失なくして債権者を確知すること能わざるとき」という規定に徴し明らかである。本件の場合いずれも成立に争いのない甲第一号証、乙第一九号証および原審証人人高橋良一の証言によれば、被控訴人池田が鴨下晶禧やその義弟の高橋良一に会つて確めれば、控訴人三名が遺産相続により本件土地を相続し、賃貸人の地位を承継したことは、容易に判明したものと察せられ、この点被控訴人池田に過失がなかつたものと認めがたい。

(室伏 園部 森)

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