大判例

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東京高等裁判所 昭和43年(ネ)2704号 判決

すでに認定したところによれば、控訴銀行は相互銀行として預金、積金の受入、資金の貸付、手形割引等の業務およびこれに附随する業務を営むものであることは明らかであり、手形割引や預金のため顧客から約束手形を預り保管し換金することもその業務の範囲に属するものと認むべきところ、訴外森田の前記行為は、右銀行の集金等の業務を担当してこれを行うにあたり、被控訴会社代理人田中孝子から約束手形を預金のため、又は手形割引の依頼をうけて預り、いずれもこれを知り合の金融業者などを介して割引き、割引金を得て保管中その一部を自ら領得するに至つたものであるから、右森田が控訴銀行において約束手形の預託もしくは割引に関する事務を直接担当するものでなくその権限がなかつたとしても、右森田の行為はその外形から見れば、控訴銀行の被用者としての森田の職務の範囲に属すると見ることができ、控訴銀行と被控訴会社間にその当時手形取引又は預金契約がなかつたことは右のように解するにつき妨げとなるものではない。しかも訴外田中孝子に右森田が自己の利益のためその権限をこえて右行為を行つたものであるとの認識がなかつた以上、右森田の行為は、控訴銀行の「事業ノ執行ニ付キ」なされたものということができ、控訴銀行はその被用者森田房が被控訴会社に与えた損害を賠償すべきである。

(川添利 荒木 長利)

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