大判例

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東京高等裁判所 昭和43年(ネ)996号 判決

本件公正証書は、控訴人を代理する権限のない沈聖求が控訴人の代理人として公証人にその作成を嘱託しかつ執行受諾の意思表示をして作成されたものであつて、控訴人に対し効力を有しないものというべきである。

このようなある当事者に対する関係で効力を有しない債務名義に基づきその当事者所有の不動産に対して強制競売手続がなされ、競落許可決定が確定した場合における、その競落の効果如何については、本件における控訴人および被控訴人らの主張にみるように議論の存するところである。しかしこの場合の強制競売手続は、その基礎となつた債務名義が効力を有しないのであるから、債務名義なくしてなされたのと異らないのであつて、通知および送達の有無を問うまでもないのである。したがつて、この場合競落人は競落により本件不動産の所有権を取得しえないと解するのが相当である(支払命令を債務名義とする事案についての最高裁判所第三小法廷昭和四三年二月二七日判決参照)。

そうとすれば、被控訴人黄は、本件不動産を競落してもこれによる所有権の取得を控訴人に対して主張することができず、したがつて控訴人に対し本件競落による所有権移転登記の抹消登記手続をする義務があることになる。

(小川 小林信 川口)

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