東京高等裁判所 昭和43年(行ケ)85号 判決
(争いのない事実)
一 本件に関する特許庁における手続の経緯、本件意匠の構成その他及び本件審決理由の要点がいずれも原告主張のとおりであることは、当事者間に争いのないところである。
(本件審決を取り消すべき事由の有無について)
二 原告は、本件審決は、本件意匠と引用意匠(それが本件意匠の登録出願前公知であつたことは当事者間に争いがない)との差異を看過誤認した旨主張するが、右主張は理由がないものといわざるをえない。すなわち、成立に争いのない甲第三号証から第十号証の各一から三によれば、引用意匠の構成は本件審決認定のとおりであることを認めうべく、これと本件意匠とを対比すると、両者は、袖部の上下の縁線において、両縁が直線状であるか、上縁が直線状で下縁が弧線状であるかの点、袖先がやや細く絞られているか否かの点及びポケットの形状等の点等において差異があるが、他面、婦人用トッパーとしての全体の輪郭、形状、色彩並びに襟の形状、袖の付け方、ポケットの縁飾片の形状、付け方等の点において酷似していることが認められ、これらの事実に成立に争いのない甲第二十八号証(鑑定人上野清香の鑑定書)を参酌して考量すると、本件意匠と引用意匠とは、部分的には若干の差異はあるにしても、婦人用トッパーとしての全体的考察においては、意匠としての本質的差異はなく、全体として相類似するものであると認めるを相当とし、他に右認定を左右するに足る証拠はない。原告は、両意匠の比較においては、その着用時における類否をも考慮すべきものである旨主張するが、着用時における原告主張の差異なるものも、さまで顕著なものといいがたいのみならず、多分に着用者の体格、姿勢等によつて左右されるものであることは見易いところであるから、その主張の程度の差異をもつて直ちに婦人用トッパーの意匠としての両者の本質的差異と見ることは相当でないといわざるをえない。
(むすび)
三 叙上のとおりであるから、本件意匠と引用意匠とは、その若干の差異にかかわらず、婦人用トッパーの意匠として、看者に与える審美感において、相類似するものというべく、したがつて、右と異なる見地から、その主張の点に判断を誤つた違法があることを理由に本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというほかはない。
よつて、これを棄却することとする。