大判例

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東京高等裁判所 昭和44年(ネ)1036号 判決

控訴人が内田紙業の取締役であることは当事者間に争いがない。ところで商法第二六五条の趣旨は、取締役個人と株式会社との利害の相反する場合において、取締役個人の利益が図られ、会社に不利益な行為が行なわれることを防止するにあると解せられるから、取締役と会社との間の手形行為でも、それが会社に不利益を及ぼすものでないときは、取締役会の承認を要しないということができる。しかしながら、本件手形一ないし三については、前記認定のとおり控訴人は内田紙業から裏書譲渡を受けるに際し各手形額面金額に対する満期日まで日歩五銭の割合による割引料を控除した金員を支払つたものであり、これを実質的にみるときは、右各手形額面相当の金員を各満期日までの日歩五銭の利息を天引して貸し付けたに等しい。そして日歩五銭の利率は年利一割八分二厘五毛にあたり、利息制限法第一条所定の制限をこえるものであるから、かかる高利による手形割引は会社に不利益な取引といわざるをえない。したがつて右の各手形取引については内田紙業の取締役会の承認を要すると解すべきである。

(荒木 大和 田尾)

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