東京高等裁判所 昭和44年(ネ)1457号・昭44年(ネ)1464号 判決
後藤観光が原告から本件土地を賃借していたこと、参加人が昭和四〇年二月一四日本件建物と本件賃借権とを後藤観光から譲受けたことは参加人および玉木の認めるところであり、右譲受について原告の承諾を得たことについては主張も立証もなく、弁論の全趣旨によれば、原告が後藤観光に対し同年四月二六日到達の書面で、玉木に対する本件賃借権の譲渡または本件土地の転貸を理由として本件賃貸借を解除する旨の意思表示をしたこと、玉木が本件建物を同年四月二七日以降占有使用していること、本件土地の相当賃料額が一か月二、五九〇円であることを認めることができる。参加人はその右譲受については背信行為にならない特段の事情がある旨主張するけれども、該主張事実はまだ右特段の事情に該当するものと認めることはできないから、玉木に対する右譲渡または転貸の有無にかかわらず、右賃貸借解除の意思表示は有効であり、本件賃貸借はこれにより終了したものと解せざるを得ない。なお、玉木は、その主張によれば債権担保のため本件建物の所有権および本件賃借権を取得したに過ぎないのであるから、まだ本件建物について買取請求権を行使し得ないものというべく、その買取請求の主張は主張自体理由がない。
(田嶋 松永 吉江)