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東京高等裁判所 昭和44年(ネ)730号 判決

三、次に控訴人に対し清算金の支払と引き換えに承諾を求める被控訴人の予備的請求について判断する。

被控訴人と新本間の本件土地に対する代物弁済の予約が帰属清算型の担保契約と解すべきものであり、被控訴人は控訴人に対し清算金を支払うのと引換えに右予約完結の意思表示に基く本件土地の所有権移転仮登記の本登記手続につき承諾を求めうることは既に判示したとおりである。

控訴人は、抵当権と併存する代物弁済の予約においては、他の債権者の申立により競売手続が開始されている場合には目的物件の換価清算は右手続によつてのみなされなければならないと主張し、控訴人が第一審判決後の昭和四四年六月一八日後順位の抵当権に基き本件土地につき競売の申立をなし競売手続開始決定がなされ(但し仮処分により右手続の続行は停止された)たことは本件当事者間に争いのない事実である。

しかしながら、右控訴人の主張は一般論としては是認し得ないものではないが、本件代物弁済予約が帰属清算型のものであるばかりでなく、債務者である新本が既に被控訴人に対し本件土地の登記済権利証を交付し、かつその引渡をなしていることは既に判断したとおりであり、被控訴人が本件土地上に建物を所有して本件土地を使用していることも弁論の全趣旨により認められるのであるから、このような事実関係のもとにおいて被控訴人が競売手続によらなければ本件土地の換価清算をなし得ないと解することは、徒らに権利関係に混乱をきたす結果を生ずることになるから、控訴人の主張は本件においては適切でなく、採用し難いものといわなければならない。

成立に争いのない乙第二号証によると、昭和四四年七月八日現在における本件土地二筆の評価額が合計金七三六万一二〇〇円であることが認められる(右乙第二号証は控訴人の申立てた競売事件における鑑定評価書であるから右評価額が最低競売価格となることが明らかである)から、その後一年余を経過した本件口頭弁論終結時(昭和四五年九月二五日)までに一割の値上りがあるものとみて、右時点における適正評価額は金八一〇万円と認めるを相当とする。乙第九号証の記載はにわかに採用し難いものであり、他にこの認定を左右し得る証拠はない。

ところで、前に認定したところによれば、被控訴人が控訴人との関係で本件土地につき優先弁済を受け得る債権額は元本金五〇〇万円とこれに対する約定の日歩六銭の割合による最後の二年分の遅延損害金二一九万円右合計金七一九万円であるから、被控訴人は控訴人に対し前記本件土地の評価額八一〇万円から右七一九万円を控除した金九一万円を清算金として支払うことを要し、控訴人は被控訴人から右金員の支払を受けるのと引き換えに新本が被控訴人の為本件土地につき東京法務局杉並出張所昭和四二年二月九日受付第三五六六号所有権移転仮登記に基ずく本登記手続をなすことを承諾しなければならない。

(石田哲 杉山 小林定)

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