東京高等裁判所 昭和44年(ラ)130号 決定
二、ところで、本件競売事件記録編綴の「不動産抵当権設定金銭消費貸借契約証書」写(同記録五ないし七丁)、「代位弁済金領収証並に抵当権移転証書」写(同記録八、九丁)、「信用保証書」写(同記録一〇丁)、「信用保証委託約定書」写(同記録一二丁)、「神奈川県信用保証協会業務方法書」(同記録三五ないし三八丁)等によると、抗告人が、その主張のように、相手方が株式会社横浜銀行より金員を借受けるに際し、相手方のために保証をし、かつ、同人との間に、抗告人が弁済した場合に取得すべき求償債権につき、民法第四四二条第二項とことなる損害金支払の約定をし、かつ、これにともない、代位弁済により取得すべき抵当権の効力が右損害金にも及ぶことを約したこと、そして、抗告人がその主張のように、相手方の前記借受債務を代位弁済したことが認められ、これにもとづき抗告人が別紙第二債権目録記載の債権の存在を理由として、本件不動産任意競売の申立をなし、別紙第一債権目録記載の債権につき競売開始決定がなされたことは、一件記録によつて明らかである。
三、よつておもうに、求償権範囲に関する民法の規定は任意規定と解するを相当とするから、前記求償債権の範囲およびこれにともなう代位により取得すべき抵当権の効力が及ぶ範囲に関する特約は、当事者間では有効である。
したがつて、代位により抗告人に移転した本件抵当権は、右遅延損害金をも担保するものとして競売開始決定をなすに差支えはないというべきである。
もつとも、右特約は、登記なくしては、利害関係のある第三者(本件の場合登記簿謄本によれば藤沢税務署、藤沢市が差押をしているので第三者にあたる。そのほかに、一般債権者)に、これをもつて、対抗することはできない。よつて申立にかかる前記損害金のうち法定の年六分の範囲を超える部分については抗告人は優先弁済を受けることができず、一般債権者と平等の割合で配当を受けることができるに止まる。
(久利 三和田 栗山)