東京高等裁判所 昭和44年(ラ)318号 決定
民事訴訟法が、判決手続について口頭主義を原則とするのは(民訴法一二五条)、口頭弁論期日における関係人の自由な口頭陳述によつて、訴訟資料の形成に資せんとするためであるが、一方、口頭陳述のみでは、資料の明確さと完全さを欠き易く、且つ、その再認が困難であるという欠陥を免れないので、法は、審判の基礎をなす重要な訴訟行為については、すべて書面によることを必要とし(同法二二三条、二三二条二項、二三四条二項、三六七条、三九六条、三九八条等参照)、また、調書の作成(同法一四四条)、準備書面の提出(同法二四二条)の制度を設けてこれを補充している。
これによつてみれば、口頭弁論における裁判所の訴訟指揮、殊に右の如く書面によることを要するとされている訴訟行為を、当事者に具体的にどのように行わせるかは、右に述べた口頭弁論の本旨に従い、時宜に応じて決せられるべく、裁判所がその判断により、書面の朗読に代えて書面を引用せしめ書面に記載のとおり陳述せしめたからといつてなんら口頭主義の要請に反するものではない。
(岡部 川上 大石)