東京高等裁判所 昭和44年(ラ)440号 決定
本件記録によれば、抗告人は債権者を相手方として債務者鹿島正良が債権者に対して負担する本件根抵当権の被担保債務について豊島簡易裁判所に調停の申立をなし(同裁判所昭和四四年(1)第一二三号事件)、これとともに本件競売手続の停止を申立て、昭和四四年六月一一日その旨の決定を得て、同月一二日右決定正本を当裁判所に提出したことが認められる。
しかして、右決定正本の提出は、本件競落許可決定言渡後になされたものであるが、未だ右許可決定は確定しておらず、抗告裁判所としては、抗告の裁判をするまでに生じた事情を斟酌すべきであるから、競売法の準用する民事訴訟法第六八一条第二項、第六七二条第一号に基づき、原決定を取消すべきである。なお前記停止決定は、単に本件競売手続の一時の停止を命じているにすぎないものであるから、競売裁判所としては、同法第五五〇条第二号、第五五一条により、すでになした処分を一時保持すべく、したがつて抗告裁判所は原決定取消とともに競落不許の宣言までもなすべきではない。
(古山 川添万 秋元)