大判例

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東京高等裁判所 昭和44年(ラ)500号 決定

よつて按ずるに、熱海市役所における本件競売期日の公告が、同市役所の前面ガラス張りの箱様の掲示板に、公告に関する書類を真中から二つ折りにして重ねて、両肩を押しピンで止めるという方法でなされており、ために競売物件の表示が一見しただけでは判明し難い状態にあることは、抗告人ら提出の疏第一、第二号証(いずれも写真)によつてこれを認めることができる。

そこで、右のような方法でなされた公告の適否について考察するに、本来競売期日の公告は、商業上の広告のように通りすがりの者の興味を喚起し、その関心を引付けようとする性質のものではなく、競売について積極的に関心を有する者の為に、いかなる競売が行なわれるかを知り得るようにすれば足るものというべきであるから、たとえ掲示してある競売期日の公告に関する書類の内容が隅から隅まで読み得る状態(これが理想であることはいうまでもない。)になくても、競売について関心を有する者にそれが競売期日の公告に関する書類であることがわかり、右の者が当該係員に申出れば掲示にかかる書類を披見し得る体制にあれば、これを以て競売期日の公告がなされたというを妨げないものと解するのを相当とする。

これを本件についてみるに、前記掲示板に掲示してある書類が、競売期日の公告に関する書類であることがわかる状態にあつたことは前記認定に徴し明らかであるし、また、一般に官公署は勤務時間内である限り、一般人からする前記申出に即応し得る体制にあるものというべきところ、本件につきこれが拒否されたという特段の事情のあつたことを認めるに足る資料は存しない。従つて、本件競売期日の公告は適法になされたものというべきである。

もつとも、競売法二九条によつて準用される民訴法六六一条一項各号の公告の目的は、競売の事実を一般不特定多数人に了知させ、なるべく多数の者を競売に参加させようとするにあるから、この目的を達するため、本件のような公告の方法(そうしてこれは現在一般に行なわれているところでもある。)に幾多の改善の余地の存することはもとより否定すべくもないが、このことは未だ右認定を左右するに足るものとはいえない。

(岡部 川上 大石)

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