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東京高等裁判所 昭和44年(行ケ)121号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔編注〕原告訴訟代理人は、本訴請求の原因として、次のとおり述べた。

一 特許庁における手続の経緯

原告は、昭和四十年十一月十五日、「といし車」につき、一九六四年(昭和三十九年)十一月十六日アメリカ合衆国においてした特許出願に基づく優先権を主張して、特許出願をしたところ、昭和四十二年十一月二十九日、拒絶査定を受けたので、昭和四十三年四月八日、これに対する審判を請求し、昭和四三年審判第二、六七九号事件として審理されたが、昭和四十四年七月九日、「本件審判の請求は、成り立たない。」旨の審決があり、その謄本は、同年七月二十六日原告に送達(出訴期間として、三月が附加)された。

〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二 本件審決は、引用例に開示された技術内容の認定を誤り、ひいて、これと本願発明との対比において判断を誤つたものというべく、取消を免れない。すなわち、

(一) 本願発明は原告主張のような目的を達するため、その端面の環状区域において研削作用を行なう砥石車において、一定の研削圧のとき、研削要素が、環状区域が連続かつ均質の時よりも良好に被加工体中に食い込みうるように、研削機能を有する研削要素11を環状区域全般にわたつて分布せしめ、研削要素の端面を、研削要素よりも軟質な材料により形成された体部10より突出させて体部に埋入せしめるとともに、研削要素の周囲に冷却液通路が形成されるように、体部を研削要素よりも軟質とし、研削に際し、研削要素よりも速やかに摩耗するように構成され、このような構造とすることにより原告主張のような研削効率ないし作業能率を向上せしめる作用効果を奏するものであることを認めうべく、これに対し、(二)引用例記載の研磨砥石は、「一般ニ例ヘバ焼入鋼ノ如ク硬度高キ材料ノ研磨ニハ比較的硬度低キ研磨砥石ヲ必要トシ例ヘバ軽金属或ハ非金属等硬度低キ材料ノ研磨ニハ硬度高キ研磨砥石ヲ必要トスル」が、「従来一個ノ材料ヲ研磨スル場合只一個ノ砥石ニヨリテ之ヲ仕上グルコトハ殆ンド不可能ニシテ少クトモ二個ノ硬度異ル砥石ヲ使用シ少クトモ二回ノ研磨操作ヲ行フ必要存シタリ。……本案砥石ハ上記スル如ク砥石ノ作動面ヲ二種ノ硬度ヲ有スル複数個ノ部分(2)及(3)ヲ円周ニ沿ヒ交互ニ配置セシメテ構成シタルガ故ニ之ガ一廻転スレバ被研磨材料ハ硬度異ル二部分ニ接触スルコトトナリ材料ハヨク研磨セラレ之ニ特ニ仕上操作ヲ施スノ要ナク前記ノ不利ヲヨク排除シ得ルナリ」なる旨の記載ならびに図面の第一図(正面図として引用例の砥石車の円周面部が示されている。)および第二図(側面図としてその断面部が示されている。)によれば、従来は、一個の被研磨材料を研磨する場合、少なくとも二個の硬度の異なる砥石を使用して、少なくとも二回の研磨操作を必要としたが、引用例のものは、「砥石の作動面たる円周部」に沿い、二種の硬度を有する部分を交互に配置することにより、一操作により、同時に被研磨材料を右二部分に接触せしめることにより、その労力の節減を図ることを目的としたものであることを認めうべく、以上の認定を左右するに足る証拠はない。

(三) これらの事実に徴すれば、本願発明と引用例記載のものとはその目的、構成および作用効果を異にし、それぞれに開示された技術思想を異にするものとみるを相当とする。

したがつて、本願発明をもつて引用例の記載から当業者の容易に推考しうるとすることは、当を得たものということはできない。

(むすび)

三 以上説示したとおりであるから、その主張の点に違法のあることを理由に本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由があるものということができる。よつて、これを認容する。

(三宅正雄 武居二郎 布井要太郎)

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