大判例

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東京高等裁判所 昭和44年(行ケ)135号 判決

〔主文〕昭和四〇年審判第四七一二号事件について特許庁が昭和四四年一〇月三一日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

〔事実〕第一 双方の求めた裁判

原告訴訟代理人は、主文同旨の判決を求め、被告指定代理人は、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求めた。

第二 請求の原因

原告訴訟代理人は、請求の原因として、つぎのとおり述べた。

一 特許庁における手続の経過

原告は、昭和三七年一一月八日、「コンデンサースピーカー」という名称の考案について実用新案登録出願をしたところ(昭和三七年実用新案登録願第六六七四六号)、昭和四〇年二月二六日付の拒絶理由通知を受けたので、同年四月二一日付をもつて意見書に代わる補正明細書と補正図面を提出したが、同年六月四日拒絶査定があつたので、同年七月一五日審判の請求をしたところ(昭和四〇年審判第四七一二号)、意見書提出期間を発送日から四〇日間と指定した同年一〇月八日発送された同月二日付の拒絶理由通知を受けたので、同年一一月一八日、意見書に代わる手続補正書として補正明細書および補正図面を提出したが、特許庁は、昭和四四年一〇月三一月、「本件審判の請求は成り立たない。」との本件審決をし、その謄本は、同年一一月二四日、原告に送達された。

二 本件審決の理由

本件審決の理由は、

「本願の考案は昭和三七年一一月八日の出願であつて、その要旨は、原審において昭和四〇年四月二一日付提出の補正書によつて補正された明細書と、同じく同日付提出の補正図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりのコンデンサースピーカーにあるものと認める。これに対して当審で昭和四三年一〇月二日付で拒絶理由を示し、期間を指定して意見書の提出を求めたが、審判請求人はこれに応じなかつた。そこで審理するに、上記の拒絶理由は妥当なものと認められるから、この理由によつて本願は拒すべきものとする。よつて結論のとおり審決する。」というものであり、これに引用された昭和四三年一〇日二日付の拒絶理由通知における拒絶理由の要旨は、「明細書第一頁第一一ないし第一八行目の「本考案は……が用いられている。」という記載では、振動膜の表面に蒸着された金属層がどのような態様に凹部内にはめ込まれるものか、また、パンチメタルとはどのような金属を意味するのかが明らかでない。(2)昭和四〇年四月二一日付提出の補正書において(イ)その第二項の記載では、本考案によればなにゆえに振動膜の金属層と固定極板との接触や短絡放電が防止できるのか、その具体的な態様の説明が不明瞭である。(ロ)同第三項の実用新案登録請求の範囲の補正で、振動膜の表面に蒸着された金属層についての記載がなく、その具体的構成が不明確である。(3)同時提出の補正図面は、これが現実にスピーカーとして使用されるためにはどのような構成にされるものか明瞭でない。本願の明細書および図面の記載は、以上の点で不備のため、実用新案第五条第三項および第四項に規定する要件をみたしていないものと認める。」

というものである。

三 本件審決を取り消すべき理由

本件審決は、原告が昭和四三年一一月一八日提出の意見書に代わる手続補正書により明細書全文を訂正した結果前記同年一〇月二日付拒絶理由通知書における拒絶理由はすべて解消したのに、右手続補正書を看過して、本願考案の要旨を前記のとおり誤認し、前記拒絶理由を妥当なものとして原告の出願を拒絶すべきものとした点で違法であるから、取り消さるべきものである。

第三 請求原因に対する答弁

被告指定代理人は、原告主張の請求原因事実をすべて認め、「本件審決が、昭和四三年一一月一八日提出の手続補正書を考慮しないで本件考案の要旨を認定したのは、右手続補正書には、実用新案登録出願番号は表示されていたが、審判番号が表示されていなかつたため、本件審決のときまでに右手続補正書が審判官のもとに届かなかつたという事情によるものである。」と述べた。

第四 証拠関係<略>

〔理由〕原告主張の請求原因についてはすべて当事者間に争いがないところ、右事実によれば、本件審決は原告主張のとおり違法というべきものであつて、その取消を求める原告の本訴請求は理由があるから、これを認容……する。(柳川真佐夫 武居二郎 楠賢二)

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