大判例

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東京高等裁判所 昭和44年(行コ)47号 判決

一、当事者

東大和市大字狭山一〇四四の一三九

控訴人

上田茂太郎

右訴訟代理人弁護士

下山四郎

東京都中野区新井町二丁目二一番地の五

被控訴人

中野税務署長

長井久二

東京都千代田区大手町一丁目三番地

被控訴人

東京国税局長

安川七郎

右両名指定代理人

月原進

外三名

二、主文

1  本件控訴をいずれも棄却する。

2  控訴費用は控訴人の負担とする。

三、事実

1  控訴代理人「原判決を取り消す。被控訴人中野税務署長が控訴人に対し昭和三七年一〇月三一日付でした更正のうち、譲渡所得金三四六万二、五五二円、納付すべき税額金一三九万九、四五〇円および過少申告加算税額六万九、九五〇円の部分を取り消す。被控訴人東京国税局長が控訴人に対し昭和三九年三月一三日付でした審査裁決のうち、譲渡所得金一九九万、二九七円、納付すべき税額金七五万七、八六〇円および過少申告加算税金三万七、八五〇円の部分を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴人ら代理人はいずれも控訴棄却の判決を求めた。

2  当事者双方の事実上の主張および証拠の関係は、次のとおり付加するほか、原判決の事実摘示(原裁判所の昭和四四年二月一八日付更正決定により更正されたもの)と同じであるので、これを引用する。

(控訴人の主張)

控訴人が従前主張の昭和三一年三月二二日付公証人の確定日付のある書面によつて同日亡長男茂一郎に贈与したのは同主張の三棟の旧建物のうち茂一郎が商業を営んでいた建物を除く二棟であつて、茂一郎が使用していた右建物はその敷地の借地権とともにもともと茂一郎の所有であり、控訴人の所有ではなかつた。従前右贈与の際他の二棟の建物とともに茂一郎所有の右建物とその敷地の借地権をも贈与したように主張したのは誤りであるので右のように訂正する。したがつて、控訴人が譲渡したことのない右借地権が課税の対象となるいわれはない。

(被控訴人らの主張)

右控訴人らの主張のうち、被控訴人ら従前の主張に反する点を否認する。

(あらたな証拠)

控訴代理人は甲第一二ないし第一五号証を提出し、当審における証人上田茂代、上田鈴、増田清三郎の各証言および控訴人本人尋問の結果を援用し、乙第六ないし第八号証の成立(第六号証については原本の存在も)を認め、被控訴人ら代理人は乙第六ないし第八号証を提出し、甲第一二ないし第一五号証の成立はいずれも知らないと述べた。

四、理由

1、当裁判所も控訴人の被控訴人中野税務署長に対する請求は棄却すべきもの、同じく被訴人東京国税局長に対する訴は却下すべきものと判断するところ、その理由は、次のとおり付加訂正するほか、いずれも原判決の理由と同様であるので、その記載をここに引用する

(1)  原判決九枚目裏五行目の「そして」から同一〇枚目表二行目の「同人に使用させていたところ、」までを削り、これに替えて「そして、成立に争いのない乙第四号証の一、二、同第八号証、原審証人近藤一久の証言により成立を認める同第三号証に原審および当審証人上田鈴の証言(ただし後記措信しない部分を除く)並びに原審における控訴人本人尋問の結果(第一ないし第三回、ただし後記措信しない部分を除く)を綜合すれば、次の事実を認めることができる。すなわち、控訴人は中野駅前において株式会社上茂商店の名で酒類の卸小売り等を業とする者であるが、昭和二三年頃、その頃娘茂代の婚家先の舅岸野時太郎から賃借するようになつた豊島区池袋二丁目一、一六一番宅地(本件で問題の借地権対象地)上に木造瓦葺二階建店舗廉居宅一棟建坪(昭和二六年二月二〇日控訴人所有名義の所有権保存登記)を建築し、長男茂一郎に同建物を同人の酒類等卸小売業および居住用に無債で使用させ、その後さらに右借地上にその一部がかかる二〇坪前後とその大半がかかる一三坪前後の木造トタン葺二階建各一棟を建築し、これらを他人に店舗として賃貸し、その他人からの家賃を茂一郎に収受させていたところ、」を加え、同一〇枚目裏四行目の「甲第一号証の一の契約は、」の次に「昭和三一年三月分からは右贈与すべき物件よりの収入は茂一郎が取得し、そのかわり同物件に関する費用その他の負担は茂一郎がこれを賄うことにするが、同物件の所有権移転はしばらく見合せ、」を加え。同裏一一行目の「認め」と同行目から同一一枚目表一行目にかけての「認め」をそれぞれ「定め」と訂正し、同一一枚目表一行目の「文言があるが、」の次に「他の文言とあわせ読むならば、茂一郎が控訴人より将来受けるべき遺産の分配分は右契約に定めたような約旨で受け渡しが終つたと認める趣旨に受け取れるのであつて、」を加え、同表二行目の「右認定を左右するに至らず、」の次に「前記証人上田鈴の証言および控訴人本人尋問の結果中右認定にそわない部分はにわかに措信しがたく、後に付言する証拠を除いて、」を加え、同表五行目の「昭和三三年」を「昭和三二年一二月頃」と訂正し、同表六行目の「その敷地上に」の次に「控訴人名義で」を、同表八行目の「亡茂一郎」の次に「(昭和三五年一月二〇日死亡)」を、同一一枚目裏二、三行目の「被告ら主張のごとく」の次に「前記贈与に関する契約書の趣旨にしたがい、」をそれぞれ加える。

(2)  控訴人は当番において、茂一郎が商業を営んでいた旧建物はその借地権とともにももともと茂一郎の所有であつて、控訴人の所有ではなく、したがつてこれらを茂一郎に贈与したことはないと主張し、それにそう当審証人上田茂代、上田鈴の各証言および控訴人本人尋問の結果はあるが、前認定のとおり、右建物には控訴人のための所有権保存登記がなされており、またその敷地である本件係争借地権の対象地には隣接の土地に跨つてさらに控訴人所有の建物二棟が建在していることと、前記長男茂一郎から右三棟の建物およびその敷地借地権を譲り受けたいとの希望があり、これに応えて前認定の契約がなされ、かつ、契約書(甲第一号証)が作成されたことはいずれも控訴人みずから主張するところであること、そして茂一郎死亡時においても同人所有と称する建物および借地権を対象として相続人からの相続税の申告がなされていないことは当事者間に争いがないことなどからすれば、遅くとも、茂一郎において営業用および居住用に使用していた前記建物に控訴人のための所有権保存登記がなされた以後においては、その動機はともかくとして、右建物敷地である前記一、一六一番宅地の借地権が控訴人に譲渡されていたのであり、そのことを茂一郎も、当初の借地人茂代も肯認し、地主もあえてこれに異論をもつ状況ではなかつたものというべきであり、その後同宅地の地代を茂一郎において支払つて来たとしても、前認定のとおり茂一郎は地上建物を無償で使用し、かつ、他人への賃貸家賃を収受していたことからすれば、右地代支払いの状況に格別不自然なものはなく、右証人茂代、鈴らの各証言および控訴人本人の供述は、本件粉争後故らに以上の経過を誤解、誤認したものとし、事を構えてなされたものとして採用しえないし、他に控訴人の右新主張を認めるに足りる証拠はない。

2、よつて原判決は相当であり、本件控訴はいずれも理由がないので、民事訴訟法第三八四条第一項、第九五条、第八九条に従い、主文のとおり判決する。

(裁判長判事 畔上英治 判事 上野正秋 判事 兼子徹夫)

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