東京高等裁判所 昭和45年(ネ)1610号 判決
訴外山内は控訴人の下請業者の従業員であり、かつ同宿者であるとはいえ、控訴人の留守中無断でその衣服のポケットから加害車のエンジン・キーを探し出し、これを用いて加害車を運転した上本件事故を惹起したものであるから、かかる事実関係のもとにおいては、控訴人が本件事故当時加害車に対する運行支配および運行利益を有していたということをえず、したがって控訴人に自賠法第三条所定の自己のために自動車を運行の用に供する者としての責任を負わせることはできないものといわなければならない。控訴人が加害車にドア・キーをかけておかなかった(この事実は前記甲第五号証の二三により認められる)ことは、本件の場合にはなんら控訴人に右の責任を負わせる理由となるものではないと解すべきであり、他に控訴人に右の責任を負わせるべき事実を認めるに足る証拠はない。
してみると、被控訴人の自賠法に基づく請求もまた理由がない。
(桑原 大和 浜)