大判例

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東京高等裁判所 昭和45年(ネ)1968号 判決

ところで、このような新株発行の場合、株式会社は、商法二八〇条の三の二により払込期日の二週間前に新株の額面無額面の別、種類、数、発行価額等いわゆる新株発行事項を公告しまたは株主に通知することを要するとされているが、これとともに商法二二四条によれば、株式会社の株主への通知または催告は株主名簿に記載した株主の住所またはその者が会社に通知した住所にあててなせば足り、右通知または催告は通常その到達すべかりし時に到達したものとみなされることになつている。これは、株式会社が通常多数の株主をもち、しかも株主が絶えず変動することに対応して、会社に株主の真実の住所の探索の困難さを解消させ、かつ株主あての通知、催告の不着、遅延から生ずる会社の義務を免責することによつて株主に関して発生する法律関係を簡易、迅速、画一的に処理することが必要とされるからである。右の趣旨に照らせば、株主に対する新株発行事項の通知についても商法二二四条の適用が排除されるものとはいえず、したがつて、被控訴会社の控訴人に対する新株式割当通知書も、前記のとおり昭和四四年三月二〇日株主名簿記載の控訴人の住所にあてて発送されたことが認められる以上、通常これが到達すべかりし時に到達したものと看做すべく、前掲乙第三号証の一および第四号証の二によれば、その発信地および到達地はいずれも東京都区内であることが明らかであるから、通常は二日または三日以内に、すなわち同年同月二二日または二三日までには到達したものといわなければならない。

原審における証人片山武子の証言および控訴人本人尋問の結果中には、控訴人方では昭和四四年三月二〇日頃前記新株式割当通知等の郵便物を受領していない旨の部分が存在するが、右郵便物が発送された事実が認められること前記のとおりである以上、その通常到達すべかりし時に到達したものと看做すほかはない。また、控訴人は、株主名簿に真実の住所地が記載してあり、かつその住所地を宛先として通知する場合は商法二二四条が適用されないというが、同条は、株主名簿記載の株主の住所にあてて通知がなされれば、その住所が真実の住所であると否とにかかわらず到達を擬制して株式事務の簡易化を計ろうとするものであるから、右主張は理由がない。

(西川 園部 森)

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