東京高等裁判所 昭和45年(ネ)206号 判決
控訴人曾我昌隆は本件貸室の賃貸借契約における賃借人ではないから、右契約にもとづき、賃貸人の修繕義務不履行すなわち債務不履行を理由として、被控訴人に対し右漏水による損害賠償の請求をすることが許されないことはいうをまたないが、しかし同控訴人は本件貸室の賃借人である控訴人曾我照枝の夫として、右貸室に同人と同居し、これを使用する権原を有するものであるところ、被控訴人が本件貸室と上階の四三号との間のコンクリートスラブのガス管を通した跡の穴を充填せず、右部分及び洋間の天井のひび割れの箇所からの漏水を防ぐ適当な工事を施していないことは、本件貸室に本来備わるべき設備をかくいわゆる土地の工作物の設置・保存に瑕疵がある場合に当るから、右のように本件貸室の賃借人の夫として常時ここに出入起居する控訴人曾我昌隆が右漏水により損害をこうむつたとするならば、同控訴人は本件貸室の占有者であり所有者でもある被控訴人に対して、土地の工作物の設置・保存の瑕疵による損害として、その賠償を請求しうるということができる。
(浅沼 岡本 田畑)