大判例

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東京高等裁判所 昭和45年(ネ)2181号 判決

控訴代理人は、わが国の法制では婚外父子関係の成否は関係当事者間の自治にゆだねられ、認知請求についても民事訴訟法二三七条二項の適用があると主張するが、同説に賛同し難いことは、先に引用した原判決理由が本案前の抗弁について示した判断のとおりである。なお、付言すれば、先に引用の原判決認定事実のとおり、本件の場合は、かつて昭和二八年八月三一日被控訴人が三才のときにその母乙野花子が法定代理人として控訴人を相手どつて認知請求の訴を提起し、被控訴人が第一、二審とも勝訴し上告審に係属中、昭和三一年二月三日被控訴人が五才のときに右乙野花子が被控訴人の法定代理人として訴の取下をしたものであるところ、原審における被控訴本人尋問の結果から認められるとおり、控訴人は、昭和四一年春商業高校に進学した際戸籍上自己の父の欄が空白になつているのを知り、昭和四三年六月二八日、その一八才のときに、専ら自己の父を明らかにする目的から、自らの意思に基づいて本訴を提起するに至つたものであつて、以上のような事情からしても、本訴は、裁判所のなした判決を当事者がもてあそぼうとすることを防止しようとする民事訴訟法二三七条二項の法意に触れるものではないと解するのが相当である。

(柳川 後藤 平田)

参照 一審判決の要旨部分

認知請求の訴についても民事訴訟法第二三七条第二項の適用があるか否かについて検討する。この点について被告は、右規定は通常訴訟事件ばかりでなく人事訴訟事件についても適用がある旨主張する。しかし、実体法的に見て認知請求権は放棄を許されざる権利であり、そのことは認知請求の訴においては特に真実が尊ばれるべきであることに由来すると解されるが、そうだとすると訴訟法的に見ても再訴の禁止による制裁は真実にもとづいて身分関係を確定しようという公益上の要求の前には後退していると考えるべきである。そうでないと放棄のできない請求権について放棄を認めたのと同じ結果になつてしまう。従つて、被告の右主張は採用できず、民事訴訟法第二三七条第二項の規定は認知請求の訴には適用がないと解する。

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