大判例

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東京高等裁判所 昭和45年(ネ)2450号 判決

しかしながら、和解条項第三項の土地明渡義務は、同第四項の賃貸借契約上の義務ではなく、同第四項(二)の無断増改築禁止の特約も賃貸借契約の本質的要素に関するものではないから、右明渡義務の履行を怠り、右特約に反する行為があったからといって、賃貸借当事者間に要請される信頼関係を破壊するに足らないと認められるときはこれを理由とする賃貸借契約解除権の行使は許されないと解するのが相当である。

よって、この見地に基いて本件をみる。

成立に争いのない甲第一号証、乙第九ないし第一一号証と弁論の全趣旨によると、訴外亡藤陵章成は控訴人に対し「同訴外人が控訴人に原判決添付別紙第一ないし第五目録記載の土地を賃貸していたところ、控訴人は定められた用法に反し右賃借地上に映画館を建築したから、同訴外人において右賃貸借契約を解除した。」と主張して建物収去土地明渡の訴を提起し(東京地方裁判所昭和三一年(ワ)第六一八三号)、右訴訟係属中控訴人が賃借地の一部を他に無断転貸または賃借権の譲渡したことを発見したとして重ねて賃貸借契約解除の意思表示をした旨の主張を追加したところ、前述のとおり右訴訟事件につき裁判上の和解が成立したこと、そして右和解においては従前の賃貸土地の一部を即時返還する(第二項)、一部は期限を定めて明渡す(第三項)、他の一部について改めて無断増改築等を禁止する特約をして賃貸する旨の合意がなされたことが認められるのであって、右特約に反し前述のごとき映画館の改修工事を無断ですることは信頼関係を破壊するに足るものというべきである。

(谷口 綿引 宍戸)

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