東京高等裁判所 昭和45年(ネ)2815号 判決
(1) 被控訴人藤作の「休業による逸失利益」についての判断は原判決理由第三項(二)の当該部分の記載(原判決一五枚目表三行目から同一七枚目表二行目まで)と同一であるから右記載をここに引用する。
(2) 慰藉料
前認定のように、被控訴人藤作の妻である被控訴人なつ子は、本件事故により頭部等に傷害を受け、受傷当時危篤状態が続き(前掲甲第一号証によれば同被控訴人は受傷後約二週間意識不明であつたことが認められる。)、事故後約一年三か月にわたつてほぼ継続して入院加療につとめたが、頭部外傷による平衡感覚障害、下肢筋力低下症状等の後遺症は治癒せず、症状固定により退院し自宅にて療養を続けており、右後遺症のため、杖を使用しなければ歩行が困難で、階段の昇降も単独ではできず、手のしびれのため炊飯用の釜程度の重さの物すら持てず、通常の主婦のなすべき家事労働もなしえない状態であることその他本件にあらわれた全資料に鑑みるとき、被控訴人藤作はその配偶者である被控訴人なつ子の生命が害された場合に比して著しく劣らない程度の精神上の苦痛を受けたものと認められる。
従つて、被控訴人藤作は自己の権利として慰藉料を請求できるものと解され、同控訴人の受けた精神上の苦痛を慰藉すべき金額は一〇万円と認めるのが相当である。
(3) 控訴人らに対し賠償を請求しうべき損害の額
そうすると、休業による逸失利益四万九、六〇〇円および慰藉料一〇万円の合計一四万九、六〇〇円が被控訴人藤作の損害額となるところ、同被控訴人と被控訴人なつ子とは前記のとおり夫婦の間柄にあるので、被控訴人なつ子の前記過失を被害者側の過失として被控訴人藤作の損害額の算定についても斟酌すべく、前述した割合(編注なつ子の過失の程度は六〇%とする)によつて前記損害額を減額すると五万九、八四〇円となるから、同被控訴人は右と同額の損害賠償請求権を有することとなる
(浅賀 川添 秋元)