大判例

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東京高等裁判所 昭和45年(行ケ)119号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕本件審決を取り消消すべき事由の有無

二 本件審決は、次の点について判断を誤つたものであり、違法として、取り消されるべきものである。すなわち、本願考案の要旨に、<書証>を総合すると、本願考案における濾過体は、通気性の多孔質材からなり、その上部開口部において椀状の上部本体の下端開口周に取り付けられ、その下方において釣鐘状あるいは半球状の曲面壁を構成しており、このような材質、形状の構造としたことにより、水の濾過は曲面壁によつて行なわれるから、濾過面積は大きくなるとともに曲面壁を透過する水の流速は減ぜられて飛散を防止することができ、優れた整流効果を挙げうることを認めることができる。これに対して、<証拠>を総合すれば、第一引用例は、接続筒(1)内の中部に突縁(4)を設けて狭少な開口部を形成させ、該縁より下部ホース(5)の嵌着部(6)とし、下方中央部を括つた布からなる濾水器を突縁(4)の下方に嵌入した「ホース」接手の構造にあり(叙上の事実は、当事者間に争いがない。)、その布の形状は、下方中央部を括るために、多かれ少なかれ放射状の襞を生ずることのほか、水がこれを透過する際、その壁面が一層ふくらむという点を考慮に入れても、なお、本願考案の濾過体が釣鐘状あるいは半球状の形状をしているのとは明らかに異なり、また、その材質も、本願考案と異なり、一枚の布からなるものであり、その結果、第一引用例の濾水器は、水の濾過面積が小さく、かつ、水圧を弱める作用が十分でないため、本願考案について認められるような前記の優れた作用効果を挙げうるものと認めることができない。なお、第二引用例において、フィルターとして多孔質材を用いることが示されているけれども、これは、プラスチック・スクリーンを二条のファイバー層により補強して管状としたフイルターについての考案であり(叙上の点は、当事者間に争いがない。)材料自体に微細な通気孔を有する材質を用いることは全く示されていないから、第二引用例に示されたフィルターを第一引用例の布に置き換えてみたところで、本願考案における前記の作用効果を奏するものとは到底認められない。

したがつて、本願考案の釣鐘状あるいは半球状の曲面壁は、第一引用例の布の下方中央部を括つてほぼ曲面状を形成している濾水器とは、材質および構造において顕著な差があり、本願考案には第一引用例に見られない特段の作用効果があることが認められるから、本件審決は、両者を単なる構造上の微差があるにすぎないとした点において、判断を誤つたものといわなければならない。

(むすび)

三 以上のとおりであるから、その主張の点に判断を誤つた違法があるとして本件審決決の取消を求める原告の本訴請求は理由があるものということができる。よつて、これを認容する。

(三宅正雄 武居二郎 友納治夫)

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