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東京高等裁判所 昭和45年(行コ)77号 判決 1971年12月07日

浜松市泉町八三七番地の一一〇

控訴人

池谷麻司

右訴訟代理人弁護士

横田真一

同市元城町三七番の一

被控訴人

浜松税務署長

中川庄次

右指定代理人

篠原一幸

堀井善吉

内山正信

石田柾夫

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

(申立)

一、控訴人は、「(一)原判決を取消す。(二)控訴人に対し、被控訴人が昭和四四年三月十四日付でなした昭和三九年分所得の更正請求却下の決定を取消し、昭和四一年五月二日付でなした昭和三九年分所得税七十五万八千四〇〇円及無申告加算税七万五千八百円の賦課決定は之を取消す。被控訴人は控訴人に対し金五拾七万九千百円及内金拾九万九千百円については昭和四二年一一月一七日より、内金参万円については同年一一月一九日より内金参拾五万円については昭和四三年四月六日より支払済に至る迄日歩弐銭の割合による還付加算金を付し支払いせよ。(三)予備的に左記の判決を求める。被控訴人は控訴人に対し昭和四一年五月二日付でなした昭和三九年分所得税七拾五万八千四百円無申告加算税七万五千八百円の賦課決定は無効であることを確認せよ。(四)訴訟費用は第一審第二審共被控訴人の負担とする。」との判決を求めた。

二、被控訴人は、主文第一項と同旨の判決を求めた。

(主張、証拠)

当事者双方の主張、証拠の提出、認否等は、控訴人において別紙(一)控訴人の主張に記載のとおり陳述し、被控訴人において別紙(二)の被控訴人の主張に記載のとおり陳述したほか、原判決の事実摘示に記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一、当裁判所も、原審と同様に、控訴人の本訴各請求は不適法であるから却下すべきであると判断する。その理由は、左記のほか、原判決の理由に記載するとおりであるから、これを引用する。

1. 原判決五枚目表(記録一五丁)一〇行目の後に、「なお、控訴人は別紙(一)の四において、本件更正請求は当時施行の国税通則法第二三条によるものであり、本件更正請求とこれに対するイないしホの一連の手続は本件課税処分の取消を求める控訴人の本件訴につき国税通則法の定める不服申立の前置手続に該当すると主張する。しかし、本件更正請求がなされた昭和四三年一〇月三一日当時の国税通則法第二三条は確定申告をしなかつた控訴人(控訴人が昭和三九年分所得につき確定申告をしなかつたことは弁論の全趣旨により認められる。)に適用されないことは同条の規定自体に徴し明らかであるだけでなく、成立に争いがない甲第一号証の一により明らかな、本件更正請求の理由に照すと、控訴人は当時施行の所得税法第一五二条、同法施行令第二七四条により本件更正請求をしたものと解するのが相当である。仮に本件更正請求が当時施行の国税通則法第二三条によりなされたものとするも、いずれの法条による更正請求もその性質上また規定上本件課税処分に対する国税通則法の定める不服申立(異議申立又は審査請求)には該当しないから、控訴人の主張する前示一連の手続は本件課税処分の取消を求める控訴人の本件訴につき国税通則法の定める不服申立の前置手続に該当しない。従つて、控訴人の主張は採用できない。」を加える。

2. 原判決五枚目裏四行目の後に、「右訴の変更申立は、従来の請求である本件課税処分の取消等を求める訴に追加して、更正請求却下処分の取消という新請求について審判を求めるものであるから、その変更の申立をする際に新請求について出訴期間等の訴訟要件を具備しなければならない。」を加える。

3. 原判決五枚目裏末行目の後に、「控訴人が別紙(一)の二において指摘する最高裁判所判決は、本件と事案を異にするものであつて、本件に適切でない。そして、控訴人が別紙(一)の三において主張するような経過事実が仮にあつたとしても、右経過事実は行政事件訴訟法第一四条第三項の正当な理由(すなわち、本件についていえば、一年の除斥期間内に本件更正請求却下処分取消の訴を提起することができなかつたことについての正当な理由)に該当しないのは勿論、右正当な理由の存在することの有力な資料にもならないし、他にこれが存在することを認めるに足りる証拠もないから、(なお、同条第一、二項の三箇月の不変期間不遵守についての追完事由も証拠上認められない。)この点に関する控訴人の主張も失当である。」を加える。

4. 原判決六枚目裏(記録一六丁)一〇行目の「裁判するためには」の後に、「本件課税処分の無効原因、すなわち右の処分に重大かつ明白な瑕疵が存在するか否かについて新たに証拠調をしなければならず」を加える。

5. 原判決七枚目表(記録一七丁)七行目の後に、「訴の変更を許さない旨の決定を口頭弁論で当事者に告知するか、或いは判決の理由中でするかは裁判所の裁量に委ねられているのであるから、原審が原判決の理由中で訴の変更を許さない旨の判断を示したのは、なんら違法ではない。また、記録によれば、被控訴人は所論の訴変更に対し異議を述べているものと認められるが、仮に異議を述べていないものとしても、訴訟手続を著しく遅滞させることは公益に反することであるから、この点について被控訴人(第一審被告)が異議を述べなくても、訴の変更を許すべきではない。よつて、この点に関する控訴人の主張も失当である。」を加える。

二、よつて、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条第九五条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 久利馨 裁判官 三和田大士 裁判官 栗山忍)

別紙(一)

控訴人の主張

一、原判決が本件控訴人の請求は違法であるとして却下した理由の要旨は左の通りである。

(イ) 本件課税処分について国税通則法に定める不服申立の手続を経由したことを認める証拠はない。

(ロ) 請求の趣旨変更が行政事件訴訟法第十四条第一項の三ケ月の出訴期間経過後であるので不適法である。

(ハ) 本件課税処分の無効確認を求める豫備的請求は、民事訴訟法第二三二条但し書に該当し、事柄の性質上関聯請求の追加的併合の場合にも準用されるが、著しく訴訟手続を遅延する場合に該当し違法である。

というにある。

二、然れども控訴人が本件訴訟を提起したのは、昭和四十四年十月二十一日であることは記録上明白であつて、判示のように期間経過後ではない。原判決が請求の趣旨変更の日時を指摘して行政事件訴訟法第十四条第一項に違反すると断定したのは同条の解釈を曲解したものであつて違法である。

況んやその前提である(イ)の国税通則法違反であることの認定とは、その論拠と矛盾撞着するものであつて

(1) 不適法な不服申立であつても、行政庁がこれを受理し、本案審理を受けた以上、一応有力な行政庁の判断を経たものであるから前置手続を経ている(最高裁二小昭和三一、三、九、最民集一〇巻三号七五頁)。

(2) 適法な不服申立がなされているにかかわらず、裁決が誤つて却下した場合は前置の手続を経ている(最高裁三小、昭和二四、八、九、最民集三巻九号三二九頁)

の判例にも違反するものである。

三、更に豫備的申立の無効確認については、行政事件訴訟法第十三条第六号の関連請求又は同法第十九条の追加的併合請求と見ること原判決指摘の通りである。而して同条第二項により民事訴訟法第二三二条の規定の例によることを妨げないことは明白である。而して同条第一項但し書の著しく訴訟手続を遅滞せしむべき場合に該当するか否やが問題であるが、豫備的申立は準備手続後第一回口頭弁論期日(昭和四十五年十月二日)に主張したことは明であつて、訴訟手続を遅延する意図目的のないのは勿論、単に法律上の疑念又は老婆心から問題提起したものであつて、訴訟遅延とは没交渉又は無関係であるのみならず、単に審判官の頭脳的法律判断を煩わすのみであつて、一挙手一投足の労は絶無である。従つて民訴第二三二条の規定する口頭弁論の終結に至る迄に該当し適法であるから判断遺脱又は法律曲解の違法がある。仮りにこれを許さない不当性がある場合には民訴第二三三条により不許の決定を要するにも拘わらず、判決で却下することは同条を無視した違法がある。又被告たる被控訴人は何等異議のないことは本件記録に徴し明らかであつて、当事者間に争いなき事項につき、豫備的申立を却下した原判決は、当事者主義と法律を無視し延て裁判官独善的権力主義と、裁判回避的当事者不在裁判の臭気紛々性を感じるのは私の浅学菲才と偏見邪心に因するのであろうか。

四、控訴人は昭和三九年度分所得税の更正請求書(甲第一号証)は、国税通則法第二十三条によると解する。所轄税務署も亦同一見解のようである。

本件課税の対象である農地については、その売買につき、訴外の原告飯尾みつと控訴人との間に係争を起し(静岡地方裁判所浜松支部昭和四二年(ワ)第二三九号事件)、その争点は原告飯尾は売買による農地の取得を主張し、被告控訴人は譲渡担保であつて真の売買ではないというにあつて互に対立したが、審理中裁判所の勧告により調停に付され昭和四三年一〇月一六日調停が成立した(同四三年(ノ)第一五号)。その要旨は控訴人が借入金を支払い該物件の返還を受ける条項であつた。依つて直ちに被控訴人に対し調停調書を提示し、その経過といきさつを説明したところ、更正請求書を提出するよう指示慫慂されたので、同年十月三十一日更正請求書(甲第一号証)を提出した次第である。その際準拠法については具体的説明もなく、控訴人及びその代理人山本弁護士も条文については理解しないまま、行政機関の重責にある税務署係員の親切且つ好意に基づく要請によつて提出したのが真相である。

右更正請求に対する審理の経過の要領は次の通りである。

イ 昭和四四、三、一四 更正請求却下の決定(甲第一号証の二)

ロ 同 三、一四 異議申立書提出(甲第二号証の一)

ハ 同 五、六 異議申立却下の決定(甲第二号証の二)

ニ 同 五、二九 名古屋国税局審査請求(甲第四号証の一)

ホ 同 八、一三 審査請求棄却の裁決(甲第四号証の二)

ヘ 同 一〇、二一 本件訴訟の提起(本記録)

右のいきさつで、法の規定する前置要件を具備することは疑う餘地はない、何となれば事実上、当事者双方納得づく即ち了解の上で審査請求をなし、之を審理したことは明々白々である。其の請求の準拠法の如きは枝葉末節的と思われる。従つて控訴人は被控訴人の所得税法第百五十二条の釈明については大きな疑問があるが、強いて之に反対し、自説を固執するものではなく、裁判所の賢察明鑑に期待したいのである。

五、本件の重点は右の事実が行政事件訴訟法第一四条の出訴期間に該当するか否か、即ち本件が法定の前置主義に反するか否やにある。之を肯定した原判決が法律の誤解又は事実の誤認があることは、贅言を要せずして明白であるのみならず、同条第三項の明文から見て、不変期間は絶対性を有しないこと明らかであるから、法律の解釈を誤つた違法がある。

即ち前項に述べた本件の経過事実は少くとも同項の規定する正当性に該当し、之を証明する有力なる証左であることを確信する。

六、被控訴人の主張三に対する控訴人の意見

被控訴人が控訴人の昭和三九年分所得税の更正請求書(甲第一号証の一)は、所得税法第一五二条に基づく更正請求であると釈明するが、控訴人は同条の適用には若干の疑問がある。

元来更正の請求については、国税通則法がその原則を定めるところであつて、所得税法は特例を定むるに過ぎないことはその第六章の更正の請求の特例とあるに徴しても明白である。のみならず、第百五十二条はその前段において第六三条(事業を廃止した場合の必要経費の特例又は第六四条(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例)に規定する事実その他これに準ずる政令で定める事実が生じたことにより更正の請求をすることができると規定し、換言すれば国税通則法第二三条の明文以外に具体的例示的事実を列記して、その特例を規定したものと解釈すべきではないだろうか。即ち本件は例示的規定に該当しないから、所得税法第一五二条を適用するのは疑問なきを得ないのである。

別紙(二)

被控訴人の主張

一、控訴人はその主張二において、「……控訴人が本件訴訟を提起したのは、昭和四四年一〇月二一日であることは記録上明白であつて、判示のように期間経過後ではない。……」旨主張されている。

なるほど、昭和三九年分所得税の決定処分の取消しを求める訴は、控訴人主張のとおり、昭和四四年一〇月二一日に提起されているが、この訴は、国税通則法に定める不服申立の手続を経ていない不適法な訴である。

また、原審において、「行政事件訴訟法第一四条第一項に定める三ケ月の出訴期間経過後である。」と判示された、更正請求却下処分の取消しを求める訴は、昭和四五年七月二二日の第五回準備手続期日に至つて、変更(追加)申立がなされたものである。

ところで、右更正請求却下処分に対する審査裁決は、昭和四四年八月一三日付で訴外名古屋国税局長から控訴人に対し棄却する旨の通知がなされているから、右裁決書は同日頃控訴人に到達しているものと認められる。

右の訴の変更(追加)申立は、従来の請求である昭和三九年分所得税の決定処分の取消を求める訴に追加して、更正請求却下処分の取消というあらたな請求について審判を求めるものであるから、その変更の申立をなす際、新請求について出訴期間等の訴訟要件を具備しなければならない。しかして、前記更正請求却下処分の取消を求める訴は、行政事件訴訟法第一四条第一項に規定する三ケ月の出訴期間を経過した後に訴の変更(追加)申立がなされたことが明らかな不適法な訴であつて、原判決の判旨は正当であり、控訴人の主張は失当である。

なお控訴人の判例違反の主張は、引用する判例が本件といづれも事案を異にするもので、適切でなく明らかに失当である。

二、予備的申立にかかる無効確認の訴は、準備手続終結後の口頭弁論期日に至つてあらたに申立てられたものである。ところで、昭和三九年分所得税および無申告加算税賦課決定処分取消の訴ならびに同年分所得の更正請求却下決定取消の訴は、いづれも前述のとおり訴訟要件を欠く不適法な訴であり、すでに準備手続を経て証拠調もすみ、判決に熟していたところ、右予備的申立にかかる所得税および無申告加算税賦課決定処分の無効確認訴訟を審理することになると原処分につき重大明白なかしの存否などの新たな争点が生じ、また立証の必要が増加すること明白であつて、「著ク訴訟手続ヲ遅滞セシムヘキ場合」に該当することが明らかである。なお、訴の変更を許さない旨の決定は、口頭弁論で当事者に告知するか、或いは判決の理由中でするかは裁判所の裁量に委せられている。原判決は判決理由中で判断していること明らかであり、なんら違法はなく、控訴人の主張はいずれも失当である。

三、被控訴人は、控訴人が昭和四三年一〇月三一日付で被控訴人に提出した更正の請求書を所得税法(昭和四〇年法律第三三号、以下「所得税法」という。)第一五二条の規定に基づくものと推定した理由について次のとおり陳述する。

(一) 昭和四三年当時の更正の請求について

(1) 控訴人が被控訴人に対して、本件更正の請求をなした昭和四三年一〇月三一日当時施行の国税通則法(昭和三七年法律第六六号、以下「国税通則法」という。)第二三条は、更正の請求について、納税申告書を提出した者が、当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、

ⅰ 当該申告書の提出により納付すべき税額が過大であるとき

ⅱ 当該申告書に記載した純損失等の金額が過少であるとき、又は、当該申告書に純損失等の金額を記載しなかつたとき

ⅲ 当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額が過少であるとき、又は当該申告書に還付金の額に相当する税額を記載しなかつたとき

の一に該当する場合には、当該申告書に係る国税の法定申告期限から一定期間(当該国税が所得税又は法人税である場合には二月以内、その他の国税にあつては一月以内)に限り税務署長等に対し、当該申告に係る課税標準等又は税額等につき更正すべき旨を請求することができると定められていた。

即ち、右規定は、更正の請求の原則的なものであつて、法文上明らかなように納税申告書を提出した者に限つて認められていたものである。

なお、現行の国税通則法(昭和四五年法律第八号による改正後のもの。)第二三条第二項に定められているが如き、後発的事由による更正の請求の規定は、昭和四三年当時の国税通則法には定められていなかつたのである。

(2) ところで、前記(一)の原則的な更正の請求のほか、法定申告期限後において、後発的理由に基づいて減額を必要とする事実が発生した場合、更正の請求ができる旨各税法(所得税法第一五二条、同法第一五三条、法人税法〔昭和四〇年法律第三四号〕第八二条、相続税法〔昭和二五年法律第七三号〕第三二条)にそれぞれ更正の請求の特例の規定が定められていた。

右更正の請求の特例は、法文上明らかなように納税申告に係る課税標準等又は税額等だけではなく、更正又は決定により確定している課税標準等又は税額等についても更正の請求が可能である。

(二) 更正の請求の規定の改正について

国税通則法第二三条の規定は、昭和四五年法律第八号により一部改正されたが、その改正のポイントは、次のとおりである。

(1) 更正の請求をすることができる期間について、改正前は、法定申告期限から所得税および法人税の場合二月、その他の国税の場合一月と定められていたが、改正法では、右期間を法定申告期限から一年間に延長された。

(2) 次に、法定申告期限後に一定の事由が生じた場合(いわゆる後発的更正の請求)、改正前は、更正の請求の特例として所得税法、法人税法及び相続税法等にそれぞれ規定がおかれていたが、改正法では、国税通則法第二三条第二項に後発的事由による更正の請求の特例の規定が追加された。

右規定は、通常の更正の請求期間である一年の期間経過後でも、後発的更正の請求事由が生じてから二ケ月間は、なおその事由により更正の請求ができるものである。

(三) 本件更正の請求について

(1) 原審における本件課税処分の経緯で明らかなように、控訴人は昭和三九年分所得税(法定申告期限昭和四〇年三月一五日)について納税申告書を提出する義務があると認められるにもかかわらず、当該申告書を提出しなかつたので、被控訴人は、昭和四一年五月二日付で国税通則法第二五条の規定に基づき控訴人に対し決定処分をするとともに、その旨通知した。

なお、控訴人は、右決定処分に対し国税通則法に定める不服申立の手続きをしなかつたので、同処分は適法に確定した。

(2) その後控訴人は、前記決定処分から約二年半も経過した昭和四三年一〇月三一日に至り、右決定処分により確定している課税標準および税額等について突如更正の請求をなしてきたものである。

(3) してみると、控訴人の昭和四三年一〇月三一日付の更正の請求は、控訴人が納税申告書を提出していないことからして、前記決定処分に対するものと窺えるから、前記一の(1)で述べた国税通則法第二三条に規定する更正の請求には該当しないことが明白であり、結局控訴人の右更正の請求を適法な手続きによる更正の請求とする限りにおいては、前記一の(2)に述べた特例的な更正の請求即ち、所得税法第一五二条に規定する後発的事由に基因してなされた更正の請求と認めざるを得ないのである。

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