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東京高等裁判所 昭和46年(て)14号 決定 1971年10月19日

被告人 自称 藤原衛

決  定

(被告人氏名略)

右の者に対する東京地方裁判所が昭和四十六年六月十日にした保釈許可決定による保釈につき、東京高等検察庁検察官検事中川一よりこれが取消の請求があつたので、当裁判所は次のように決定する。

主文

自称被告人藤原衛に対する昭和四十六年六月十日付東京地方裁判所の為した保釈許可決定を取り消す。

保証金参拾五万円はこれを没取する。

理由

一件記録に依れば、東京地方裁判所昭和四六年特(わ)第二三五号道路交通法違反被告事件につき被告人藤原衛として第一審判決を受け、控訴により現在昭和四六年(う)第一、八二六号事件として当庁に係属中の同事件の右同被告人は、第一審判決表示の本籍並びに住居をもつ藤原衛とは元来別人で宮田教と推認される者であるが、右藤原衛なる名義を冒用し同人の本籍、生年月日等をその儘自己のものとして本件捜査当初から現在に到る迄一貫して用い来つたものであること、従つて東京地方裁判所が前記保釈許可決定において指定した制限住居たる兵庫県西脇市富吉南町日野団地五百七十八号も亦藤原衛本人の住居で本件被告人は全く該場所には居住しないことも亦認められる。

然らば被告人は前記保釈許可決定の指定条件に違反したことが明らかであるからこれを取消し、納付に係る保釈保証金三十五万円はこれを没取すべく、刑事訴訟法第九十六条第一項第五号、第二項に則り主文のとおり決定する。

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