大判例

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東京高等裁判所 昭和46年(ネ)2474号 判決

右の事実によれば、椎名に対する本件土地の売買には買戻の特約があったのであるから、同人に対する売却行為を秘して本件土地を控訴人に売渡したとしても、そのことから直ちに控訴人に対する売買契約の履行が不能であったということはできず、むしろそれはその後に前記斉藤によってなされた長岡に対する転売によって不能になったものといわなければならない。しかしながら、前記会社の営業に当っていた野口としては、控訴人に対し本件土地を売渡しその代金を受領した以上、控訴人に対する右売買契約上の義務を履行するため椎名から本件土地をすみやかに買戻すべきであり、しかも右買戻は資金的にも時間的にも十分可能であったにも拘らずこれを怠り、遂に前記のように斎藤によって他に転売された結果控訴人に対する履行が不能となり控訴人に損害を被らせるに至ったものであって、それはとりもなおさず野口において任務を懈怠したことが控訴人の右損害発生の重要な原因となったものといわなければならない。そして被控訴人は当時右会社の代表取締役として従業員を監督して第三者に損害を与えないようにする義務があるのに拘らず、野口に会社の業務を任せきりにした結果右野口の行為を看過したものであるから、その職務を行うにつき重大な過失があったものというべく、商法第二六六条の三により第三者である控訴人に加えた右損害を賠償すべき責任を免れることはできない。

(杉山孝 渡辺 小池)

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