大判例

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東京高等裁判所 昭和46年(行ケ)129号 判決

原告の主張する審決取消事由の存否について検討する。

1 取消事由1の主張について

引用例に、「中央局と各加入者との間に集線装置が配置されている図が示されている」ことは、原告の自認するところである。

他方、成立に争いのない甲第二号の二(引用例)によれば、その第六図には、(一)中央局(CENTRALOFFICE)に接続されている集線装置(CONCENTRATOR)と、この集線装置に接続された搬送端局装置(CARRIER TERMINAL)、(二)各加入者線(SUBSCRIBER LINE)に接続され、POWER SUPPLYと表示されたブロツクが接続配置されている集線装置と、この集線装置に接続され、右POWER SUPPLYと表示されたブロツク及びRINGPOWERと表示されたブロツクがそれぞれ接続配置されている搬送端局装置、及び(三)双方の搬送端局装置間を接続している多チヤンネル搬送線路(MULTI-CHANNEL CARRIER LINE)とからなる「搬送装置と集線装置の組合せの応用」が示されていることが認められる。したがつて、引用例の第六図には、中央局と各加入者との間に、そのそれぞれの側に、搬送端局装置と集線装置の組合せが配置されているものが図示されている。

そして、当事者間に争いのない本願発明の要旨によれば、本願発明は、集線装置を経由する加入者に対する通話電流の供給及び呼出信号電流の送出機能を、局側の自動交換装置が有しないことを構成要件とするものであるから、これらの電流の供給及び送出機能を、加入者側において、搬送端局装置が有しているか、あるいは集線装置が有しているかは、本願発明の要旨とは関係のないことである。したがつて、本願発明との対比を問題とする限り、搬送端局装置と集線装置とを特に区別して論ずる要はないものというべく、審決の認定における「集線装置の加入者側設備」とは、本件の場合、搬送端局装置と集線装置を組合せたものを指していると解するに妨げがない。

したがつて、審決は、引用例においては、加入者に対する通話電流供給装置及び信号電流供給装置が加入者側の搬送端局装置と加入者の集線装置の組合せに係る設備部分に設置されているとしているものと解することができるのであつて、一方、引用例の第六図においては、「集線装置の加入者側設備にPOWER SUPPLY及びRING POWERとそれぞれ表示されたブロツクが接続配置されている」ことになる。

そして、右第六図において、加入者側の搬送端局装置に接続されているPOWER SUPPLYなる表示のブロツクが加入者に対する通話電流供給電源を意味すること及びRING POWERなる表示のブロツクが信号電流供給電源を意味することは、いずれも原告の自認するところであるから、審決が、引用例においては、加入者に対する通話電流供給装置及び信号電流供給装置が集線装置の加入者側設備に設置されている、と認定したことに誤りはなく、原告の主張は理由がない。

次に、原告は、審決が、「引用例においては、これらの電流供給装置は局側の設備には当然含まれていないことが推定される。」としているのは誤りであると主張するが、当事者間に争いのない本願発明の要旨によれば、本願発明は、集線装置を経由する一般加入者に対する局側の自動交換装置が、加入者に対する通話電流の供給及び呼出信号電流の送出機能を有しないことを要件とするものであり、集線装置を経由しない一般加入者に対する自動交換装置の構成はなんら要旨としていないものであるから、「引用例のものでは、集線装置を経由しない加入者が大部分であり、この加入者については、局に置かれた電源から通話、信号電流が供給されている」ことを前提とする原告の主張は、本願発明の要旨以外の構成に基づく主張というべく、採用することができない。

2 取消事由2の主張について

この主張は、審決における「電流供給装置は局側の設備には含まれていないことが推定される。」との判断が誤りであることを前提とするものであるところ、その前提自体が、前記1の項に判示のとおり、採用できないのであるから、理由がない。

3 取消事由3の主張について

原告の主張は、本願発明の「集線装置を経由する一般加入者に対する自動交換装置」中の「集線装置」が、局からの遠、近を問わず、全加入者を対象とするものであることを前提とするものである。

しかしながら、当事者間に争いのない本願発明の要旨においては、「集線装置」と「加入者」との関係については、「集線装置を経由する一般加入者」とするのみで、本願発明に係る「集線装置」が局からの遠、近を問わず、全加入者を対象とするものであるとの限定はない。

その上、成立に争いのない甲第四号証(本願発明の明細書及び図面と昭和三九年七月一一日付手続補正書)によれば、本願発明の「図面の簡単な説明」の項には、「第3図は、クロスバー自動交換機と集線装置との接続方式を示したもので、いずれも本発明における実施例である。」(明細書の第一頁五行~七行)、との記載があつて、その第3図(別紙図面第一の第3図に同じ。)には、加入者側集線装置LC´と交換側集線装置LCを介してラインスイツチLSに接続される加入者SBと、直接にラインスイツチLSに接続される加入者SBとが示されており、「発明の詳細な説明の項には、「原則的にPBXは自家用電池をもつており、局線の利用率が高いので、直接局に別群として従来のコネクタに収容し、単独加入者には集線装置を使用することにすれば、局線を数分の一に減少することが出来る。」(明細書の第六頁一一行~一三行)との記載があることが認められ、これら明細書と図面の記載によれば、本願発明に係る集線装置は、一部の加入者を対象とする場合もあり、原告の主張するように、局からの遠、近を問わず、一律に、全加入者を対象とするものとは解せられないのである。

そうすれば、原告の主張はその前提においてすでに失当であるから、理由がない。

以上のとおりで、審決の取消を求める原告の主張はすべて理由がないので、本訴請求は失当として棄却することとする。

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