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東京高等裁判所 昭和46年(行ケ)19号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔主文〕

原告の請求は、棄却する。

訴訟費用は、原告の負担とする。

〔編注〕一 特許庁における手続の経緯

原告は、昭和三十九年四月二十四日、名称を「脱穀截断装置における截断藁の放出装置」とする考案につき、実用新案登録出願をしたところ、昭和四十二年七月十日拒絶査定を受けたので、同年九月九日、これに対する審判の請求をし、昭和四二年審判第六、六〇八号事件として審理されたが、昭和四十五年十二月五日、「本件審判の請求は、成り立たない。」旨の審決があり、その謄本は、昭和四十六年二月十五日原告に送達された。

二 本願考案の要旨

夫々別体に構成した自動脱穀機と截断機を該自動脱穀機の排稈口側に截断機の藁稈供給樋を並列状に配置させ、該截断機の截断藁の放出口へ自動脱穀機の排塵管を連結して截断藁に自動脱穀機の排塵管より吹出される風を当てて截断藁が遠方へ排出するように構成した事を特長とする脱穀截断装置における截断藁の放出装置。

三 本件審決理由の要点

本願考案の要旨は、前項記載のとおりと認められるところ、本願考案は、その願出前に出願された実願昭三九―一七七七〇号の考案(実用新案登録第八二六二〇九号をもつて登録昭和四一年実用新案出願公告第二三〇八五号公報・参照)(以下「先願考案」という。)と同一の考案と認めざるをえない。請求人(原告)は、(1)先願考案は、截断装置を脱穀機内に装備して単一機械として構成したに対し、本願考案は、脱穀機と截断機とは各々別体の機械であり、截断機の藁稈供給樋は脱穀機と離れて脱穀機の排藁口と並設されている点および(2)先願考案は、截断装置の排出筒を脱穀機の排塵胴(排塵用の吸引ブロワー)の吸込口へ連通させているが、本願考案は、脱穀機の排塵用の吸引ブロワーの排塵管と截断機の切断放出管を連通させた点において、両者は、構成に相違があり、これに伴い作用効果も異なる旨主張するが、(1)の点は、従来この種の脱穀機と截断機とを組み合わせて一機として用いる場合、各別体のものを連結して一機にするようなことは慣用手段であるばかりでなく、先願考案の要旨にも、特に脱穀機と截断機を分離不可能に一体に結合したという限定もないので、この点相違によつて、両考案を別異のものとすることはできない。また、(2)の点は、本願考案の要旨には、この点については、ただ「截断機の截断藁の放出口へ自動脱穀機の排塵管を連結して」と記載されてあるのみであり、この点、先願考案の「脱穀機の排塵胴に連通する排出筒を、回転切断装置に連通させた」ことと実質上何等相違しないし、両者はともに、截断藁に自動穀機の排塵部より吹き出される風を当てて截断藁を機外に排出するようにさせたものであり、両者間に格段の相違は認め難い。したがつて、本願考案は、先願考案と同一の考案と認めないわけにはゆかないので、実用新案法第七条第一項の規定により、実用新案登録を受けることができない。

〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二 原告は、本件審決は、本願考案と先願考案との対比において、その構成上の差異およびこれに伴う作用効果上の差異を看過誤認し、両考案が同一であるとした点において、判断を誤つたものである旨主張するが、右主張は、理由がないものといわざるをえない。

(一) 原告の主張(一)の(1)について

成立に争いのない甲第二号証の一、二(本願の明細書)によると、本願考案は、飼料截断機によつて截断された截断藁を自動脱穀機の排出する排塵風を利用して、共通の放出管により、自動脱穀機よりの藁芥とともに遠方へ運搬放出することを目的とし、別体に構成した自動脱穀機と飼料截断機とを結合し、一つのまとまつた構成とすることにより、その目的を達し、所期の作用効果を奏しうるものであることが認められ、この事実に前示本願考案の要旨を総合すると、本願考案において、前記の目的を達するための構造上の必須の要件は、自動脱穀機の排塵部に飼料截断機の截断藁の排出部を連結することであり、それら自動脱穀機および飼料截断機が個々に独立して作用することは必要でないことは明白である。

原告は、本願考案は自動脱穀機および飼料截断機をそれぞれ別体に構成した点が先願考案と比較して相違するから、これと同一考案でない旨主張するが、前説示のとおり、右の構成は、本願考案の作用効果すなわち脱穀機と截断機とを同時に運転し、截断した藁を脱穀機で発生した塵芥とともに遠くに吹きとばすことに関係がないから、このような構成の相違は単なる設計上の微差にすぎず、これをもつて本願考案が先願考案と別異の考案であるとすることはできない。したがつて原告の右主張は理由がないものといわなければならない。

(二) 原告の主張(一)の(2)について

原告は、先願考案の明細書の「考案の詳細な説明」の欄における「回転切断装置4の吹上路7は排塵胴8を介して排出筒9に連通されている。」旨の記載およびこれに符合する図面を引用して、これらによれば、先願考案における吹上路は排塵胴に結合されているものとみるのが相当である旨主張するが、右先願考案明細書の「考案の詳細な説明」の欄の冒頭には、「本考案は、脱穀機に装備した扱胴の排藁側に送込ロールを軸架し、その後方に回転切断装置を装備し、前記脱穀機の排塵胴に連通する排出筒を、回転切断装置に連通させたことを特徴とする脱穀機における切断排出装置に関するものであつて、――」と記載せられ、また、他の箇所には、「本考案は、脱穀機に装備した扱胴の排藁側に送込ロールを軸架し、その後方に回転切断装置を装備し、前記脱穀機の排塵胴に連通する排出筒を、同転切断装置に連通させたことによつて、脱穀選別によつて発生した藁くず、塵埃と切断片を同時に排出筒より放出するため、切断片放出用の筒を設けることなく、簡潔な構造となる実用的効果を奏するものである。」旨記載せられており、これによれば、先願の考案は、脱穀機より排出される藁くずおよび塵埃と、回転切断装置により切断された切断藁片を、脱穀機と回転切断装置の双方に連通する共通の排出筒により放出する構造とすることにより、別個に切断藁片放出用の筒を設けることを省略し、構造の簡素化を図つたものであることが認められ、これにその「実用新案登録請求の範囲」の「脱穀機に装備した扱胴の排藁側に送込ロールを軸架し、その後方に回転切断装置を装備し、前記脱穀機の排塵胴に連通する排出筒を、回転切断装置に連通させたことを特徴とする脱穀機における切断排出装置。」なる記載を合わせ考えると、先願考案は、さきに、原告がその主張を裏付けるために引用した「回転切断装置4の吹上路7は排塵胴8を介して排出筒9に連通されている。」構造のもののみならず、本願考案のような構造のもの、すなわち、脱穀機の排塵胴に連通する排出筒(本願考案では排塵管に該当する。)を、排塵胴を介することなく、直接に回転切断装置(本願考案では截断機の放出口に該当する。)に連通する構造のものをも包含するものと解するを相当とするから、原告の前示の主張は理由がない。

(三) 原告の主張(三)について

本願考案と先願考案とが、その構造において差異が認められないこと前段説示のとおりであるから、構成上の差異に伴いその作用効果において差異が生ずる旨の原告の主張も採用しうべくもない。

(むすび)

三 以上のとおりであるから、その主張のような違法のあることを理由に本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというほかはない。よつて、これを棄却する。

(三宅正雄 武居二郎 布井要太郎)

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