大判例

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東京高等裁判所 昭和47年(ツ)88号 判決

この確定した事実関係から一般に言えることは、津田と児玉とは特約した同時履行の方法として、売買代金(現金)が買主代理人の右児玉の手許にあるという前提で、まず登記手続(共同申請)が行なわれ、引続いて行なわれる残された右登記済証の交付と売買代金の引換給付の履行に当って、即時その場で代金の支払を受けられるものと思って児玉に登記済証を交付した津田が、その代金(現金)は児玉自身の手許にはなく、東京にいる買主本人高岡のところへ登記済証を持って行って受取って来ると告げられたため、一旦渡した右登記済証を、右の趣旨・目的で一応児玉の手許に置くことを承知し、その間約一時間位千葉県柏市内において、児玉が東京から代金を持って来るのを待つというのを諒解しただけのことであり、このように、本件の登記(登記申請及び登記済証の交付)と代金給付の履行は、予定に反した児玉の言動により中途において一部変更されたとはいえ、買主本人から間もなく(約一時間後)代金の支払を受けられるとの売主側の期待のもとに、時間的・場所的に接着した状態で、かつ、一連のつながりのある取引行為として行なわれているのであって、法律上同時履行の範疇に属する履行方法とみるのが社会通念に照らして相当である。

してみると、原判決が前示認定の限りの事実関係から、他に特段の説明もなく、津田が登記手続と同時履行の関係にある代金支払の猶予(代金後払い)を承諾したものと判断したのは首肯しえず、原判決はこの点で判決に影響を及ぼすべき法律の解釈・適用を誤ったか、理由の不備ないし齟齬の違法を犯したものというべきである。

(浅賀 小木曾 深田)

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