東京高等裁判所 昭和47年(ネ)1168号 判決 1977年5月10日
控訴人 中村稔
<ほか二名>
右三名訴訟代理人弁護士 長谷岳
被控訴人 大建昌子こと 崔孝姫
右訴訟代理人弁護士 貝塚次郎
被控訴人 朝山義朗こと 金基燮
右訴訟代理人弁護士 吉原利郎
主文
本件控訴を棄却する。
控訴人らの当審における新たな請求をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実
控訴人ら訴訟代理人(以下控訴代理人という。)は、控訴として別紙一記載の判決を、当審における新たな請求として同二記載の判決を求め、被控訴人ら訴訟代理人らは、控訴につき控訴棄却の判決を、当審における新たな請求につきいずれも請求棄却の判決を求めた。
当事者双方の事実上の主張並びに証拠の提出、援用及び認否は、次のとおり附加・訂正するほか、原判決事実摘示中、控訴人ら関係部分と同じであるからこれを引用する(但し、引用部分中「および」とあるのは「及び」と改め、原判決三枚目―記録二六丁―表一〇行目に「金は」とある次に「これらにつきいずれも日地式により、かつ、」を加え、次の丁の表一行目冒頭に「本件各手形の振出が、それぞれ被控訴人崔の自由な意思に基づいてされたという点を除き」を加え、同表四行目に「に裏書」とあるのを「の第一裏書欄に」と改め、次の行に「不知」とあるのを「争う」と改め、同表九行目に「抗弁」とある前に「前記各振出及び裏書が強制された事情及び」を加え、同表一〇、一一行目及び同裏一行目を削り、同裏七行目に「仮」とあるところから次の行に「取消す」とあるところまでを「仮に、右主張が肯認されないとしても、被控訴人金は控訴人中村に対し、昭和四二年(手ワ)第三、二七三号事件答弁書において本件手形中同控訴人が所持する手形にした裏書は強迫に基づくものであるから取消す旨の意思表示をし、右答弁書は遅くとも右事件の原審最初の口頭弁論期日までに右控訴人に送達され、その他の控訴人らに対しても同じ理由により本訴において各控訴人らの所持する手形にした裏書を取消す旨の意思表示をしたから、右各裏書は遡って無効となった。」と改め、原判決五枚目―記録二八丁―裏六行目に「見込」とある次に「み」を加え、次の行に「を容易」とあるのを削り、次の丁の表九行目に「そこに」とある次に「は」を加え、同裏二行目に「の」とあるのを「する」と改め、同裏六行目末尾「に裏書」とあるのを「第一裏書欄に」と改め、原判決八枚目―記録三一丁―表一〇行目に「抗弁に対する答弁」とあるのを「被控訴人らの前記主張事実(抗弁事実も含む。)に対する認否」と改め、同表一一行目から同裏二行目までを「控訴人らは、被控訴人らの前記主張事実中強迫行為の内容をなす事実を否認する。控訴人中村は、被控訴人金の主張する取消の意思表示のあったことを認める。」と改める。)。
一、控訴代理人は、次のとおり述べた。
(一) 仮に、本件手形金請求に理由がないとしても、控訴人らは、被控訴人崔に対し別紙三の事実関係に基づき各債権を有するところ、被控訴人金は昭和四二年五月二六日控訴人らに対し、右各無尽講契約上の債務につき、控訴人崔と連帯して支払うべき旨約し、被控訴人崔は、右債務の内金支払(昭和四二年五月二六日までに弁済期未到来のものについては弁済期に債務不履行のあった場合のみ手形上の権利を行使する約)のため本件各手形を振出し、被控訴人金はその支払を担保する目的で前記各裏書をしたものである。
しかるに、被控訴人らは、前記各原因関係の債務につき別紙三に表示してある各弁済期を経過してもなおその支払をしない。そこで、控訴人らは、被控訴人らに対し、前記原因関係の事実に基づきそれぞれ前記各債権の内金として旧来の請求の趣旨における金員と同額の金員及びこれらに対する各附帯請求の起算日から支払済まで年六分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(二) 被控訴人崔の後記抗弁事実中、商行為の内容となる事実及び不法行為の内容をなす事実は否認する。
(三) 仮に、前記原因関係をなす各債権が商事債権であるとしても、右債権の各消滅時効は、控訴人中村、同平川については昭和四二年七月一〇日、控訴人平田については同月三一日本件各約束手形金請求の訴が提起されたことにより中断した。
二、被控訴人崔訴訟代理人は次のとおり述べた。
(当審における新たな請求の原因に対する答弁)
(一) 控訴人らが被控訴人崔に対し別紙三記載の各債権(弁済期とも)を有したことは認める(但し、これらは後記抗弁事由によりその全部又は一部が消滅した。)。
(抗弁)
(二) 控訴人らが主張する無尽講は親睦を目的とするものではなく、営利を目的として講元と講員間のみの契約によって成立したものであって、相互銀行法二条一項一号所定の契約であり、かつ、当時集団的反覆的に累行されたものに属するから商行為というべきであり、これによって発生した別紙三記載の各債権は、同記載の各弁済期から五年を経過した時に時効により消滅した。そこで、被控訴人崔は昭和四九年一〇月三日の本件口頭弁論期日において、控訴人らに対し、右各消滅時効の完成を援用する意思表示をした。
(三) 控訴人平田は、その余の控訴人その他と共謀し、前記のとおり被控訴人らを強迫し、多数の約束手形に振出及び裏書を強制したが、これら手形中、本件手形以外のもの二通(全額各五〇万円)はいずれも所持人により満期に呈示され、芝信用金庫不動前支店により同支店における被控訴人崔名義の当座預金から支払(昭和四二年六月六日及び同月七日各五〇万円宛)がなされ、そのため被控訴人崔は、金一〇〇万円の預金債権を失った。これは被控訴人平田の右不法行為による損害であるから、控訴人平田はこれを賠償すべき義務がある。
そこで、控訴人崔は昭和四九年一〇月三日の本件口頭弁論期日に右損害賠償債権を自働債権として、控訴人平田の主張する債権と対当額で相殺する旨の意思表示をした。
したがって、控訴人平田の請求中右相殺によって消滅した部分は失当である。
三、被控訴人金訴訟代理人は、「控訴人らの前記請求原因事実中、被控訴人崔の債務発生に関する部分は知らない。被控訴人金が被控訴人崔の債務を連帯して負担する旨約したという事実を否認する。仮に、金が控訴人らの主張にそう意思表示をしたとしても、本件各手形行為と同様強迫により意思の自由を失った状態のもとでなされた行為であるから効力を生じえない。」と述べた。
四、《証拠関係省略》
理由
(旧請求に対する判断)
一、控訴人らが、その主張どおり各約束手形を所持することにつき、当事者間に争いがない。
《証拠省略》を総合すると次の事実を認定しえ、《証拠省略》中右認定にそわない部分は、前顕各証拠に対比し、にわかに採用することをえず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない(被控訴人崔は、甲第六号証の成立を認めているが、弁論の全趣旨によれば、これは無条件に右書証の成立を認めたものではなく、この文書の作成も前記約束手形と同様に強迫の結果真意に基づかず、又は瑕疵ある意思表示としてなされたものであるという証拠抗弁が付されているものと認めるのが相当であるから、被控訴人崔が右書証の成立を認めた事実は前記事実認定を左右するに足りない。
また、前記のようにして振出又は裏書の外形が作成された手形の一部につき満期が到来するに至るまで被控訴人らが特にその取立を防止する措置をとらなかったこと及びこれら手形のうち金額五〇万円の約束手形二通につき芝信用金庫不動前支店を通じて各満期に手形金の支払を完了したことは、被控訴人崔の明らかに争わず又は自陳するところであるが、これら事実も、仮に、満期前に支払の意思のないような態度を示せば再び強迫を加えられる虞がある事情(これは前顕各証拠により認められる。)その他諸般の状況に徴すれば、前認定を覆えすことはできない。また、これら事実をもって、被控訴人らが前記瑕疵ある手形行為を追認したとか、瑕疵ある意思表示の取消権を放棄したとか解することは相当ではない。)。
(一) 被控訴人崔は、その夫である被控訴人金には内密にしたまま、原判決事実摘示五の(一)の1記載の無尽講と同種の講に多数加入し、または、自らこれらの講元となって講を運営していたところ、昭和四二年五月頃には、落札した無尽の掛金の支払に遅滞を生ずるようになった。
ところで、これらの講は、その規約も不明確な点が多く、文書化されてもいなかったほか、一口の掛金が一〇万円という高額のものであったところから掛金滞納者の発生は、講員の間に極度の不安を呼び、恐慌状態を生ずるので、講員は掛金の滞納者に対し、極めて厳しい態度をとらざるをえなかった。
(二) 被控訴人崔は、かようにして同人の支払能力に不安を持つ講関係者(控訴人らないしその近親者を含む。)一〇数名によって昭和四二年五月二五日午後八時半頃国鉄川崎駅西口のバー「三好」の二階に呼び出され、講関係の債務支払につき話合うことを求められた。しかし、債権者らの見解によれば、崔の債務は数千万円に達するのに、同人はこれに見合う担保となるべき資産等も有しなかったので、この集りは倒産者に対する債権者集会類似のものとなり、やや興奮した状況で開始された。
(三) 交渉は控訴人平川の娘婿に当る幸田真彦が債権者を代表する形で進められ、幸田は被控訴人崔に対し控訴人らとの間をはじめとし、居合わせた全債権者らとの間に交した無尽講契約に基づく一切の債務を速やかに弁済すべきこと及びその支払の方法として各債権者に宛て約束手形を振出すことを求め、各債権者ごとに債権額を記載した紙片を示した。しかし、その額は合計で一、〇〇〇万円を超えるものであったし、崔としてはその計算に承服し難いものもあったので、明確な返答を避けた。すると、債権者らは崔を相手にしていても解決しないとみて、その夫である被控訴人金をこの場に呼び、金に右債務を弁済させようと計り、金を呼び寄せた。
(四) 被控訴人金が来たのは、翌日の午前零時を過ぎた頃であった。金は当初崔の債務の肩代りをしてもよいような口振りであったが、債権者らの主張する額が合計で一、〇〇〇万円を超えることを知って驚き、俄かに態度を変えて、崔の債務を保証したり引受けたりする意思はないことを明らかにした。
(五) しかし、債権者らは被控訴人両名に対し、なおも執拗に前記債務の履行を求めて譲らなかったので、交渉は長引いて夜を徹することとなり、その間控訴人中村や前記幸田は被控訴人らに対し暴力による危害を加えまじき勢いを示すこともあった。
被控訴人らは多数の興奮した債権者らに囲まれ、かつ、幸田や中村の態度も強硬であったので、とにかく、手形作成に必要な手形用紙、ゴム印、印章等を取るために二六日午前八時頃自宅に戻ることとなった。
しかし、この際も控訴人中村や幸田は自動車で送迎することに託けて監視を継続し、脱出も、休息や給養も困難な状態であった。
(六) 同日午前九時頃、被控訴人らが約束手形用紙二〇通分余り、崔の通称大建昌子名義のゴム印、崔の印章等を持って自宅を出ると、そのまま控訴人中村らの車で中村の自宅に連れ込まれ、ここで交渉が続けられた。
被控訴人らとしては、債権者らの主張する債務の計数上の根拠に承服しえないものがあるうえ、債権者らの要求に応ずるときは、被控訴人らの生業の本拠を失ない、一家離散し数名の子女を路頭に迷わすことにもなるので極力前記要求を拒否しようと努力(被控訴人金は一旦妻を残して帰宅しようとしたが、債権者らに悟られ実力で引戻された。)したが、要求に応じなければ何時帰宅を許されるかもわからず、また、どの様な目に遭わされるかもしれないという状況が同日の午後まで続いた。そして、前夜から引き続き行われた折衝と、その間十分な飲食物の摂取も許されなかったことによる疲労のため、被控訴人らは判断力を失ない、とにかくこの状態から脱れるためには、形だけでも手形を作成するよりほかはないとして、同日夕刻被控訴人崔は同人の通称である大建昌子の名が彫ってあるゴム印及び同人の印章を控訴人中村らに交付し、被控訴人金は前記手形用紙二〇枚余り(これらには中村らによってチェック・ライターで金額が記入されていた。)の第一裏書欄に自己の住所氏名を記載して債権者らに交付した。
そこで、控訴人中村、前記幸田らは右ゴム印・印章を用いて右手形用紙の振出人欄に被控訴人崔の記名捺印をし、かつ、その余の記載事項を補充して本件手形を含む二〇通余りの約束手形を作成した。
右認定の事実関係によれば、被控訴人らが本件手形の各振出及び裏書に関与している間は終始、控訴人中村を中心とする債権者やその代理人らによって言語・態度による強迫が加えられ、かつ、睡眠の不足及び不当監禁に類する行為のため抗拒不能の状態に陥り、意思の自由を全く喪失していたということができる。
したがって、被控訴人らの本件各手形振出及び裏書部分の作成につき関与した前認定の各行為は、手形行為としての外的要件すら備えないもの(不成立)ないしは無効なものというべきである(仮に、右行為が強迫により取消しうべき瑕疵を有する振出及び裏書であるに止まるとしても、裏書については被控訴人金が抗弁として主張する取消の意思表示により遡って無効となったというべく、振出についても、被控訴人崔の本件口頭弁論における黙示の意思表示((弁論の全趣旨により同人は右振出を取消したものと認める。))により取消されたものということができる。)。
よって、控訴人らの被控訴人らに対する本件手形上の各請求は、いずれも前提を欠くからその余の点につき判断するまでもなく失当であるというべきである。
(控訴人らの当審における新たな請求に対する判断)
二、まず、当裁判所は本件訴の変更は適法なものと判断する。その理由は後記認定事実によれば、原審における旧請求と当審における新たな請求とは請求の基礎を同一にすると認められるからである。
そこで、控訴人らの被控訴人崔に対する前記新たな請求の当否につき判断する。
控訴人中村及び平川が被控訴人崔に対し別紙三記載のとおり無尽掛金債権(右控訴人らの主張は、同人らが各無尽講の講元として崔の掛金債務を立て替えたのでその立替金返還請求権を行使する趣旨であるように解される部分もあり明確を欠くが、講元が無尽の掛金債権を自ら徴収する権限を有することは、前記無尽講契約上明らかであるから、滞納した講員のため講元がこれを立替え支払うということは無用な法律構成を重ねるに過ぎないばかりでなく、真実右立替の行為があった事実を認めるべき適確な証拠もない。したがって、右控訴人ら主張の債権は無尽掛金債権として扱うのが相当である。)を有すること及び控訴人平田が被控訴人崔に対し別紙三のとおり無尽講契約解約による掛金返還請求権を有すること(各債権の弁済期は控訴人ら主張のとおり)は当事者間に争いがない。
《証拠省略》を総合すると本判決事実摘示一の(一)記載の事実(別紙三の各事実を含む。)及び次のとおりの事実を認定することができ、右認定を覆えすに足りる証拠はない。
(一) 別紙三記載の各無尽講は講元が自己の事業としてその発意に基づき、独自に講員を募集し、自己の責任において掛金を受け入れ、かつ、運用する一方において、講員は講元との契約によってこれに加入し、又は脱退することができ、講運営上の事務、金銭的負担等もすべて講元との間で処理され、講員相互間には直接なんらの契約関係も存在しないものであること。
(二) 控訴人ら、被控訴人崔及び前記債権者らはいずれも昭和三九年から四二年頃にかけて京浜地区在住の韓国人婦人間に流行した無尽講(本件と同種、同規模のもの)の多数に講員として加入し、あるいは多額の財産的収益を目的として自ら講元となって(控訴人中村、平川及び被控訴人崔は、その間少くとも各人三つ以上の講を講元として主宰した。)講員の募集及び運営に当った。これら無尽講の講元となるときは一時に一〇〇ないし二〇〇万円の金員を手にすることができ、講員として落札する場合も一〇〇万から数一〇万円の現金を自由にすることができるのでその誘惑に負けた者らが前後の見境もなく多数の講に加入し、又は、自ら講元となるという行為を繰返し、そのうちのある者は遂に昭和四二年二、三月頃から講契約上の債務の支払ができなくなった。
(三) そして、本件無尽講契約はいずれも、これら京浜地区在住の韓国人婦人間に流行した無尽講契約の一環として締結されたものであること。
右認定の事実関係によれば、控訴人中村及び平川並びに被控訴人崔をそれぞれ講元とする別紙三記載の無尽講契約は、相互銀行法二条一項一号所定の業務と認めるべきであり、しかも、これらが営利を目的として反覆的集団的に累行されていることに徴すれば、営業として行われたと認めるのが相当である。
そうすれば、控訴人らが主張する別紙三記載の各債権はいずれも商行為(無尽業法一条、二条、相互銀行法二条一項一号、商法五〇二条参照)によって生じた債権であるというべきであるから、これらは商法五二二条に基づき各履行期(別紙三記載のとおり)から五年を経過したときに、時効によって消滅したというほかはない。
被控訴人らは、右時効は控訴人らの本件訴の提起によって中断されたと主張するが、右訴は前記各債権の内金支払のため振出され、また、裏書きされた本件各手形に基づく約束手形金及びその附帯請求にすぎないから右訴の提起は、前記各債権につき消滅時効中断の効力を生じえない。
したがって、控訴人らの被控訴人崔に対する当審における新たな請求も失当である。
次に、控訴人らの被控訴人金に対する当審における新たな請求につき判断するに、これら請求は被控訴人金が控訴人らに対し、昭和四二年五月二六日被控訴人崔の前記債務を連帯して支払う旨約したことに基づくものであるところ、これを認定するに足りる的確な証拠はない(昭和四二年五月二五日午後八時半頃から翌日夕刻までにかけて、控訴人ら債権者と被控訴人らとの間において控訴人ら主張の無尽講契約関係の債務をめぐり取交された交渉の経過は前認定のとおりであり、これによれば被控訴人金は被控訴人崔の債務につき具体的にその存在を認め、かつ、これにつき金も連帯して負担することを約した事実はないことが明らかであり、右交渉の経過とは別途に被控訴人金がこれに類する意思表示をしたことを認めうる証拠もない。もっとも、被控訴人金が本件各手形の第一裏書欄に住所及び氏名を自署したことは、同人の自陳するところであるが、これら行為は、前段説示のとおり自由な意思に基づくものでないから法律行為としての効力を生じえない(又は、強迫による瑕疵のある意思表示に基づくものであるから被控訴人金による取消権の行使によって無効となった)ことに鑑みると、右裏書欄に署名した行為をもって、被控訴人金が前記債務につき保証、連帯保証、債務引受その他なんらかの負担を引受けるべき意思表示をしたと解する余地はない。)。
そうすると、控訴人らの被控訴人金に対する当審における新たな請求も失当というべきである。
三、以上の次第で、控訴人らの被控訴人らに対する旧請求をすべて棄却した原判決は相当で、本件控訴は理由がないから棄却すべく、控訴人らの被控訴人らに対する当審における新たな請求も失当であるからいずれも棄却すべきである。
よって、民訴法九五条、八九条、九三条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 吉岡進 裁判官 太田豊 裁判官兼子徹夫は転補のため署名押印できない。裁判長裁判官 吉岡進)
<以下省略>