大判例

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東京高等裁判所 昭和47年(ネ)2164号 判決

それでは、右事故に基因する本件事故について、控訴人は自動車損害賠償保障法第三条による責任を負うことがないか否かをみるのに、まず、控訴人は前記争いのない事実からすれば、右故障のあった自動車の右法条にいう運行供用者であるところ、右故障はこれまた右法条但書にいう「構造上の欠陥または機能の障害」のいずれかに当ることも明かであり、しかも、そのことがあった場合の免責事由であるところの、「構造上の欠陥または機能の障害がなかったことを証明」する以前に、本件事故が右欠陥または障害に基因することは控訴人みずから主張するところであり、かつ、前記のとおり証明されたところである。したがって、右法条の解釈上さらに特別の除外事由がないかぎり、控訴人は本件事故について右法条による損害賠償の責任を免れることはできないものである。

控訴人は右除外事由として、右欠陥または障害が、所定の資格を有する整備実務者の注意深い点検によっても検知できないようなものである場合を挙げるので、そのことについて判断するに、同法条但書にいう右欠陥または障害とは、それが不可抗力によって生じたものまでも含むものでないことは当然であるが、反面、自動車の保有者または運転者の何らかの過失、例えば、その自動車の整備、点検上の誤った操作、見落し、定期または適時の専門資格者による整備点検を怠ったことその他の不注意に関係があることを問うものでもなく、その運行当時の自動車に関する機械工学上の知識と経験とによって、その発生の可能性が予め検知できないようなものを除く、自動車自体に内在していたものを意味するものというべきである。このような解釈は一見、自動車の運行供用者に酷に過ぎるようであるが、その責任原因は自動車の保有者または運転者の過失自体にはかかわりがなく(それらの者の整備、点検、操作等に過失がある場合は別である)、むしろ、自動車の製造者または専門整備業者等にあることになるので、比較的担保力のあるそれらの者に対して求償でき、かつ、そのことはそれらの者に対する右事故による被害者からの賠償請求よりも容易であり、前記法条はこのようにして、右被害者を保護し、さらに自動車交通の健全な発達を期しているものというべきである。そして、当審証人松田文雄の証言によれば、前記故障の発生は、本件事故時のすでに数年前から類似の故障続発によって、少くとも控訴人運転車と同車種の製造業者及びその系列下の整備業者にとって、その可能性を危惧されていたことが推認でき、少くとも本件事故当時の自動車機械工学上、事前に検知し、かつ、必要箇所の重点的点検を促し、または早期に重要部品を取り替える等によって予防することが不可能であったものではないことが認められるので、控訴人の前記特別事由による免責の主張は失当であるというべきである。

(畔上 岡垣 兼子)

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